ホストの〝オイシイ〟博多進出 韓国や台湾から女性旅行者急増 歌舞伎町から脱出、国内で最も金回りのいいエリアに
【カワノアユミの盛り場より愛を込めて】 先週は、悪質ホスト問題をめぐって起きている、東京のホストたちの地方移籍の動きをお伝えした。昨年末、一連の事件や問題を受けた東京・歌舞伎町のホストクラブの代表者は、今月までに売掛金(=ツケ)を廃止する自主規制策を表明していた。だが、「歌舞伎町での売り掛け回収が無理ならば地方で」とでもいうかのように、自ら地方の店に移籍したり、売掛金を背負わせていた女性客を地方の風俗店に〝堕とす〟ホストたちが現れ始めているのだ。 【写真】女性が並ぶ「立ちんぼ公園」と呼ばれる大久保公園前。全体的に若く、ルックスもいい 今月、久しぶりに歌舞伎町を歩いてみると、まず路上の変化に気が付いた。ホストクラブなどに客を連れて行く「外販」と呼ばれるフリーのキャッチが激減していた。悪質ホスト問題のあおりで、ぼったくりの取り締まりも厳しくなったためで、新宿区で客引きを行った場合は「50万円以下の罰金・拘留・科料」。客引きを使用させた者(店舗側)も「100万円以下の罰金」となる。 一方、都内でも客引きの罰則が緩いとされているのは渋谷区や神田に飲み屋街がある千代田区だ。客引きをしても行政からの注意だけで済むため、外販たちはいち早く移動をしているのだ。 さて、地方へ移籍するホストだが、都心から移動を始めたのは個人ホストだけではなく、店やグループも同様という。そしていま、彼らの新たな進出先として人気といわれているのが博多だ。 福岡市博多区の中洲は、福岡随一のネオン街として勢いが盛んだ。ホストクラブも多く、「取り締まりが厳しくなった東京からだけではなく、韓国や台湾からも『ホストクラブの(割り引きがある)初回に行きたい』という女性旅行者が急増している」と無料案内所の案内人は語る。 中洲にはソープランド、デリヘル、セクキャバなども数多く、観光客や出張客の集客率も良い。全国的に勢いが落ちているといわれるキャバクラ店も盛況だ。さらに、中洲、天神、春吉エリアには「立ちんぼ」も多く、博多一帯は国内の繁華街で最も金回りのいいエリアといえる。私が悪質ホストだとしても、博多への進出は〝オイシイ〟と考えるだろう。 昨年12月に福岡県警察本部と福岡労働局は中洲のホストクラブに一斉に立ち入りを行い、「売掛金」の実態についても調べたという。だが、歌舞伎町のように売掛金廃止までの制限はない。歌舞伎町を取り締まったからといって悪質ホストが消えたわけではなく、今後は、例えば中洲のような場所に問題の舞台が移る恐れはある。地方の警察も取り締まりを強化していくのではないか。
■カワノアユミ 20代を歌舞伎町と海外夜遊びで過ごした元底辺キャバ嬢。現在は国内外の夜の街でニッチなネタから盛り場の変遷までを幅広く取材。著書に、アジア5カ国の日本人キャバクラで9カ月間潜入就職した『底辺キャバ嬢、アジアでナンバー1になる』(イーストプレス)。