力を振り絞りゴールする村武ラシッド（撮影・吉澤敬太）

　「パリ五輪・陸上男子１１０ｍ障害・準決勝」（７日、フランス競技場） 　五輪初出場の日本記録保持者、村竹ラシッド（ＪＡＬ）が１３秒２６の準決勝１組４着で着順での決勝進出はならなかったが、タイム上位２人に残り、日本人初の決勝進出を決めた。もう１人の日本記録保持者、泉谷駿介（住友電工）は１３秒３２の３組３着だったが、村竹に及ばず決勝進出はならなかった。準決勝は各組上位２人、そのほかのタイム上位２人が決勝に進んだ。 【写真】健闘を称え合う０秒０６差で夢つないだ村竹 　最後は日本人２人が残り１枠を争った。２組を終えた段階で村竹がタイム上位の２番手に。３組目の泉谷らの結果を待つ形となった。泉谷は好スタートを切ったものの、中盤でハードルに足をぶつけて伸びきれず。３着争いとなり、キプロスの選手とタイム差なしの１３秒３２で３着。村竹のタイムを超えられず、これで村竹が日本人初のファイナリストになることが決まった。自身のレースから２０分後の吉報に、その場で座り込み、顔を覆って涙した。 　村竹は「泣きそうになってしまった。何年寿命を削られたか。生きた心地がしなかった」と率直に明かし「着順で決めたかったので、素直に喜べないですけど。首の皮一枚残った感じ。レース自体は加速しようと思っていた３台目でぶつけてしまい、全然思い描いたレースができなかった。決勝通ったにしても情けないレースをしてしまった」と反省。「もう変な走りをするんじゃなく、メダルを取るつもりで１２秒台も出したい。空回りせず冷静に走ってメダルを取れたら」と、見据えた。 　０秒０６差で逃した泉谷は「悔しい気持ちもあるんですけど。うすうすこうなるんじゃないかと思うところがあった。今季うまくいかない部分があったので、そこが修正しきれなかった。インターバルが詰まってしまう。自分の中に問題があった。絶対決勝にいくっていう目標があったが、力不足だった。重圧感じてないつもりだったが、負荷があったのかな」とサバサバと振り返り、村竹に「自分が落ちた分まで頑張ってほしい」と語った。 　◆村竹ラシッド（むらたけ・らしっど）２００２年２月６日生まれ。千葉県松戸市出身。松戸市立相模台小５年の時に担任の勧めで陸上を始めた。松戸一中１年から１１０メートル障害を専門にし、松戸国際高を経て順大に進学。２２年世界選手権代表。父の祖国はトーゴ共和国。１７９センチ、７６キロ。