日本の教師は本当にダメなのか? OECD教育局長は高く評価
「21世紀型」の学び 日本は「優位」
シュライヒャー局長は会見で、「21世紀型スキルの獲得には、21世紀型教授法が必要だ」と強調しました。21世紀型スキルとは、もともとインテルやマイクロソフトなど世界的IT(情報技術)企業が出資する国際プロジェクト「ATC21S」が提唱しているスキル(技能)で、「創造性とイノベーション(革新)」「批判的思考、問題解決、意思決定」「コラボレーション(協働)」「情報リテラシー(活用能力)」など10項目を挙げています。 以前から「キーコンピテンシー(主要能力)」という形で次世代に必要な能力を探ってきたOECDも、ATC21Sに参加してきました。シュライヒャー局長が「知識はグーグル(のような検索サイト)の中にある」と指摘する通り、これからは知識の量よりも、知識を活用して他者と協力し、新たな価値を生み出す力がいっそう重要になってくるのです。
実は日本でも、文部科学省が全国学力・学習状況調査(全国学力テスト)で「活用」の力を問うB問題を出題しているように、国際的な動向に敏感に反応してきました。21世紀型スキルに関しても、日本版ともいうべき「21世紀型能力」(国立教育政策研究所)として次の学習指導要領に反映させられないか検討しています。シュライヒャー局長は会見で、東日本大震災の被災地で創造的な学びが展開されていることを例に「21世紀の学び、21世紀型の教授法、学校間の協働で、日本は優位にある」と断言していました。 もちろん、課題はあります。1週間かかる課題を生徒に与えたり、少人数グループで共同の解決策を考えださせたりする指導が、他の国に比べて少ないことです。だからこそ研修に参加しやすくし、授業にもさまざまな活動ができるよう余裕を持たせることが必要でしょうし、それには行政の責任も重いと言わなければなりません。いずれにしても日本の教師はもっと自信を持って、未来志向の教育にまい進していいのかもしれません。 (渡辺敦司/教育ジャーナリスト)