「103万円の壁」企業の9割が見直し要望 一石三鳥の期待は甘すぎないか?調査担当者に聞く
経団連会長は慎重意見、全国知事会は猛反対なのに...
J‐CASTニュースBiz編集部は、帝国データバンク情報統括課の調査担当者に話を聞いた。 ――約9割の企業が「103万円の壁」の見直しを求め、反対はわずか約4%でした。担当者としてこの結果は予想通りでしょうか。 経団連の十倉雅和会長は、経済界を代表して会見で「税収減の問題もあり、慎重に議論を進めてほしい」と述べたし、全国知事会会長の村井嘉浩宮城県知事からは「地方は財政破綻する」と反対の声が出ています。 調査担当者 昨今のニュース報道を勘案して、「引き上げ」が多いという回答状況は想定通りです。「反対」については、やや慎重論が少ない印象でした。引き上げに反対する企業からは、税収の不足分を何で補うのかと疑問を呈する声や、財源不足による地方経済への痛手などを指摘する声がありました。 ――これほど企業の間から「見直し」を求める意見が多かった理由は、ズバリ何が一番大きいと考えていますか。 調査担当者 やはり、人手不足の問題が大きいと考えます。年収の壁を意識した従業員の働き控えに直面する企業が多いなかで、少しでも人手不足問題の軽減につながる可能性に期待したいということがあります。 また、最低賃金の引き上げを含み、賃上げが急速に日本社会で動き出し、長きにわたり改定がないことへの問題点の再認識の後押しもあろうかと思います。 さらに、複雑な現行の制度の刷新や公平性を求める声もあります。それらを受けて多くの企業が「見直し」を求める結果になったと考えられます。 ――そのうえ、減税による消費拡大も期待しているのですから、一石三鳥を狙っているわけですね。「見直し」を求める声については、大企業と中小企業との間や、業種によって違いはなかったのでしょうか。 調査担当者 規模や業界ともにはっきりとした差異はありませんでした。「見直し」を求める意見は、企業全体の大きな傾向と考えられます。