大阪・人口最少の区が若者を呼ぶ「ものづくり」な施策とは
若者よここで働いて 大阪市人口最少の区が「ものづくり」をPRする理由とは 撮影・編集:柳曽文隆 THEPAGE大阪
最近、大阪市内で地下鉄などに乗っていると「大正」「モノづくり」といったポスターが目に入る。大阪市大正区が「ものづくりの街」をPRしているようだが、それには「人口減」という大きな課題を少しでも解決するための思いが強く込められているという。同区役所の政策プロモーション担当者に話を聞いてみた。 【拡大写真付き】「大正」「門真南」?大阪弁のイントネーション意識した地下鉄の接近報知音とは
「ものづくり」の企業が区内に430社
「大正区は海に囲まれ、内陸部は運河が走っている土地柄なので、造船や材木関係の企業がたくさんあるんですよ」と語るのは、同区役所総務課(政策プロモーション)担当課長の近藤高史さん。区内には、そうした「ものづくり」の企業が430社もあるという。 中には創業100年を超える企業もたくさんある。「会社を経営するのって50年でも30年でも大変なことだと思うんです。それが、大正区だけで100年を超える企業がいくつもあるというのは、なかなかないと思うんですよ」と近藤課長は語る。
人口が大阪市内で最少の大正区 歯止めをかけるべく...
だが、そんな大正区も大きな悩みを抱えている。それは、人口減の問題だ。なんと、大正区の人口は現在同市内では最少だという。 大阪市役所の推計人口の資料によると、今月1日現在の大正区の人口は6万4459人となっている。今となってはピークだった1965年には9万5509人もいたが、不況や高齢化が重なって現在の状況に。「つい何年か前までは此花区や浪速区としのぎを削っていたんですが」と近藤課長は寂しそうに語る。 しかし、人口が減っていくのをそのままにしておくわけにはいかない。そこで、大正区総務課の政策プロモーションチームが街の活性化を考えようと乗り出したところ、大阪の観光戦略などを考える「大阪観光局」から「大正区の特色みてもらうのはどうだろう」という提案があったのをきっかけに、土地柄の大きな強みである「ものづくりの現場」を周知することを始めた。
若者に大正を知ってもらう。最初は修学旅行生を呼び好評
まずは、同区が工場見学に訪れる全国の小学校から高等学校までの修学旅行をコーディネートする「修学旅行ものづくり工場見学ツアー」事業を始動。 当初は、工場の人たちも「そんなんなにを見せるねん」と乗り気ではなかったが、職員らの「大正のものづくりを多くの人に見てもらいたい」という思いから、少しずつ受け入れ企業が増えていき、次第にその数は40社を超えていった。 「この受け入れによって、企業の社員さんにも変化があったそうなんです。自分の仕事を説明するために、社員さんも意識が変わったりしたようで、モチベーションがあがるなどの効果が表れたそうなんです」と近藤課長はうれしそうに語る。 実際に、こうした取り組みは国内でも珍しく「おそらく日本初では」近藤課長は続ける。実際に、この修学旅行での見学した企業へ就職した人も出たという。