在留邦人の安全確保を政府に要望、企業に懸念-中国の男児襲撃
(ブルームバーグ): 中国・深圳で日本人学校の男子児童が襲われて死亡した事件を受けて、中国でビジネスをする日本企業から懸念の声が聞かれている。日本自動車工業会の片山正則会長(いすゞ自動車会長)は19日の定例会見で、在留邦人の安全確保について今まで以上の強化を政府に要望したことを明らかにした。
全国銀行協会の福留朗裕会長(三井住友銀行頭取)は同日の定例会見で、「激しい憤りを感じる」とした上で、「全銀協として改めて会員行に注意喚起を行うことにした。情報収集や研修の徹底、危機発生時の所在管理、体制構築」などを促すとした。
帝国データバンクによると、中国には約1万3000社の日本企業が進出している。2023年10月時点の外務省の統計によると、在留邦人は10万人を超える。日本人への襲撃が相次いでいることから、日本企業の中国における活動に支障を与える懸念もある。
企業も社員やその家族の安全確保に動き始めた。三菱重工業は、中国域内の拠点に対して安全確保に努めるよう注意喚起しているという。トヨタ自動車も在中日本大使館情報を踏まえ注意喚起しているとした。
日産自動車は、家族が帯同する駐在員への個別聞き取りを行い不安事項の解消を進めるほか、駐在員の家族が通う学校の安全管理状況の管理を進めているという。このほか、中国で事業を展開する村田製作所や東芝、花王、ソニーグループなども注意喚起をしているとした。
--取材協力:古川有希、浦中大我、鈴木英樹.
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Koh Yoshida, Nicholas Takahashi, Supriya Singh