ノーシードのダークホース本命?!翔凜がノーサインで大躍進を狙う!
絶対がない野球だからこそ自主性は必要だ
近年は多くのチームで「ノーサイン野球」を採用するケースが増えているなか、五十嵐監督がここでノーサイン野球を実践しているのは、大きく2つの理由があると話す。 「野球って絶対がないスポーツだと思っています。たしかに状況に応じたセオリーは存在します。ですが打率や防御率といった確率に基づくことであって、相手によって数字は変わりますよね。 そこが野球の面白さなので、大人が少し野球を知っているからと言って張り切って前に出ていって指揮をするのは少し違うかと思うんです。監督の勘や経験によって、選手たちの最後の夏が左右されるのは残酷だと思うので、普段培った練習の成果を大会で出してもらうためにも、選手たちに任せたい。その方が納得して戦えると思いますし、大学以降のステージになれば個々の能力に任されるところも多いので、ノーサイン野球は良いと思うんですよね」
五十嵐監督が話すように、ある程度パターン化された攻め方などは存在する。しかし所詮は型にはめられたものなので、もちろん対策は練られてしまう。それを超えようとすると、「ノーサインで私たち指導者の考えを超えないといけない」と五十嵐監督は話す。 大会を勝ち上がっていくためにも、ノーサイン野球が有効な形だということだが、もう1つは教育的観点だという。 「とにかく選手それぞれの性格がプレーに出てきます。臆病な選手は慎重な選択をするでしょうし、勢い任せの選手は、雑な野球をやってしまう。自分の好きな野球で、弱みが見えてきます。大人になってからだと、『仕事だから』と言い訳できますけど、選手たちがやっているのは好きな野球です。だから言い訳が出来ないはずです。 いまの子どもたちって、弱みを他人に見せたり、指摘したりするのが苦手で、何かあれば環境のせいにしているように日々感じています。けどノーサイン野球にすれば、自分の判断、主体性を持って動くことがテーマになるので動くので、環境のせいにできない。素の自分を表現できると思うんです。 そうすれば、本当の意味で周りの仲間たちの思いを背負ってプレーするだけの覚悟が決まるはずなんです。どうしても目の前の勝利は気になりますけど、ノーサイン野球って教育的に凄く良い取り組みだと思うんですよね」