ホンダ“史上初”の「“V8”エンジン」がスゴイ! 350馬力×流麗デザインの超カッコイイ「BF350」! “NSX”との意外な共通点もある新型「フラッグシップ船外機」はどうなのか
ホンダ史上初の「V8エンジン」は凄かった…
バイクやクルマでよく知られるホンダですが、草刈り機から航空機まで、様々な“動力製品”を展開しています。 【画像】超カッコイイ! ホンダ最新型「”V8エンジン”搭載モデル」を画像で見る(30枚) 中でも、船に取り付ける“船外機”の存在はあまり知られていないかもしれませんが、1964年に初の船外機を発売してから今年で60周年を迎えるホンダの中でも歴史ある製品です。 今回そんなホンダの船外機の中でも最新鋭かつホンダ初のV8気筒エンジンを搭載する「BF350」を体験する機会を得たのでレポートします。
あまり知られていないかもしれないホンダの船外機ですが、その歴史は長く1964年から展開されています。 「水上を走るもの、水を汚すべからず」という信念のもと、軽量・廉価な2ストロークエンジンが主流の当時から、環境にやさしい4ストロークエンジンでマリン市場に参入しており、初のホンダ船外機となる「GB30」を発売して以降、さまざまな機械の動力として使用可能な4ストローク汎用エンジンを独自に進化させてきました。 ユーザーの大出力ニーズに対応するため、1990年には四輪事業で培った技術を活用し、当時の最大出力である45馬力の船外機「BF45」を発売。 1992年には、当時もっとも厳しいとされた欧州の排出ガス規制であるボーデン湖規制に適合した「BF8B」を発売。1998年にはホンダ独自の技術であるPGM-FIを導入するなど、革新的な船外機づくりを続けています。 直近では市場の高出力ニーズに対応し、2024年2月、350馬力のV型8気筒エンジンを搭載したBF350を発売しました。 これは、4輪を含めたホンダの市販モデルの歴史においても、最大の出力だといいます。 現在では、世界中で2馬力から350馬力までの計25モデルを販売しており、累計生産台数は219万台にものぼるといいます。 今回はそんな“マリン事業”の60周年記念として説明会が実施され、前述の最新船外機BF350と、V型6気筒エンジンを搭載する「BF250」を比較試乗する機会を得られました。 比較試乗は、ニュージャパンマリン社製の「NSB335」という全長10m×全幅3mほどのクルーザーに、それぞれのエンジンを2基ずつ取り付けたモデルで行われました。 まずは、BF250から。BF250に搭載されるエンジンは、最高出力250馬力を発揮する3.5リッターV型6気筒エンジン。同モデルでも、BF350が登場するまではホンダマリン最大のモデルで、十二分な出力を発揮し、大きな船体を前へ前へと押し込んでいきます。 続いてBF350。フラッグシップモデルであるBF350は高出力と静粛性を両立するとともに、低燃費を実現しているといいます。 実際にBF250と比べると、静粛性がかなり高く、BF250と同じ速度を出していても隣りにいる人との“会話のしやすさ”が段違いです。 また、BF250では相応に感じた船体の振動もBF350 搭載モデルでは不思議と感じません。これは、新設計のクランクシャフトを採用することでエンジン自体の振動を極力抑え、船体との“共振”を防止しているためだといいます。 さらに、BF250と比べると海が“穏やかになった”とさえ錯覚するほどの安心感をおぼえます。これは豊かなトルクからもたらされる高い走破性に加え、ホンダとして初搭載のトリムサポート機能により、船外機の回転数や速度に合わせて、あらかじめ設定した船体姿勢へ自動制御することができ、より簡単で快適な操船を実現しているからで、船体のどこにいても船のランクが1段階上がったような上質な乗り心地を感じられます。 ※ ※ ※ ホンダ唯一のV8エンジンを搭載するBF350の“凄さ”を実感すると気になってしまうのがクルマのエンジンとの共通性や、その転用の可能性です。 まず共通性について担当者は「ほとんど無い」としたうえで「一部パーツの流用と、クランクに『NSX(2代目)』で用いられた“高強度クランク材”を使用している」と答えてくれました。 自動車用エンジン…しかもNSXとの意外な共通性に感動したものの、その転用の可能性についてはきっぱり「難しい」と否定されました。 というのも、船外機としては大きな船に装着する場合などは複数基がけになるため、その全幅は少ないほど優位性は高くなります。つまり全幅は細い程良い=エンジン幅もコンパクトな方がいいとなるため、Vバンク角を自動車用の一般的なV8エンジンより狭角にしています。具体的には、通常の自動車用エンジンが90度であるところを60度に設定されます。 狭角となるとエンジン高も上がるため、自動車用としては不有利に働きやすくなるため、このままの使用はあまり考えられないということなのです。 素晴らしい性能を誇るBF350。それだけにエンジン自体の共有は難しくても、その技術をつかった“ホンダのV8エンジン搭載車”をと期待してしまいます。
くるまのニュース編集部