「最強の1勝馬」セキトバイーストが名門牧場に久しぶりのGⅠタイトルを授けるのかもしれない【村本浩平コラム】
◇馬産地ライター村本浩平の「馬産地インサイ道」 ここまで8戦1勝ながら、チューリップ賞では2着、前走のローズSでも3着入着。掲示板を外したのは、わずか1回だけという安定したレースを見せているのがセキトバイースト(牝3歳、栗東・四位)である。 同馬を生産したタイヘイ牧場の八尾圭樹ゼネラルマネジャーは「産まれた頃から手脚が長くて、非常に見栄えがしていました。セールでも高い評価をいただけただけに、活躍をうれしく思っています」と話す。未勝利戦を勝ちあがった後にも、勝ち馬と差のないレースを続けていく姿を見て、クラシックへの期待も高まっていったそうだ。「クラシックに出るためには、トライアルでの権利が必要と思っていただけに、チューリップ賞の2着はうれしかったです」と同マネジャー。 自らハイペースの流れを作ったチューリップ賞だけでなく、ローズSでは大逃げに出て3着を確保したように、積極的なレースこそがセキトバイーストの持ち味といえる。「ストレスをかけずに、伸び伸びと走らせた方がいい馬なのでしょう。その適性を見抜いただけでなく、いい状態でレースに臨ませてくれた陣営には感謝しかありません」と同マネジャーは話す。 タイヘイ牧場は1936年に創業。その長きに渡る歴史の中で、サニングデールやゴーカイなど、幾多の名馬を送りだした。「セキトバイーストも自分らしい走りができれば、十分にチャンスはあると思っています」と同マネジャーはエールを送る。「最強の1勝馬」が名門牧場に久しぶりのGⅠタイトルを授けるのかもしれない。
中日スポーツ