“料亭”経営者が逮捕で大阪「松島新地」に注目…飛田新地との大きな違いは「おっとりとした街の雰囲気」と「料亭の設備」
「ええ迷惑です」
――ぶっちゃけ、このたびの逮捕事件について、どうお考えですか。 「先ほども言いましたが、店が減ったでしょう。もう昔みたいに新地が流行る時代が来るとは思えませんし、どんな商売でも浮き沈みがあります。だからこそ、私たちは、もうこれ以上店を減らさんように、コツコツとやっていかんとアカンのですよ。そやのに」 ――そやのに。 「こんなことになって、他の組合員からしたら、ええ迷惑です。ボツボツと商売しといたらこんなことにならへんのに、(逮捕された人は)急がはったんでしょ。女の子がホストクラブで2万、3万使うならともかく、何十万か何百万か知りませんけど、そんな多額の売掛け、異常でしょう?」 ――仕組まなければ、そんなにならない……。 「ですね。ともかく、今、私らが持っているのは、警察発表からの報道の情報だけです。本人から話を聞かないと何とも分からない。早く出てきて、本人の口から話を聞きたいのに……」 ――その後、どうなります? 「風営法の決まりで、本人は今後5年間、店を営業できません。5軒持ってた人ですから、我々に言わせてもらうと、松島新地の料亭が80軒から75軒に一気に減るわけで、何度も言いますがええ迷惑です」 桑原理事長は、35分間の電話取材中に、「ええ迷惑です」という言葉を5回言った。先に書いたように、11月25日に3度目の逮捕となったわけで、桑原理事長はまだ本人から事情を聞けていないはずだ。「また話しますよ」と言ってくれたから、待とう。
井上理津子(いのうえりつこ) ノンフィクション・ライター。1955年奈良市生まれ。京都女子大学短期大学部卒。タウン誌を経てフリーに。人物ルポや町歩き、庶民史をテーマに執筆。著書に『さいごの色街 飛田』『葬送の仕事師たち』『絶滅危惧個人商店』『師弟百景』『葬送のお仕事(シリーズお仕事探検隊)』『もうひとつの東京を歩く』など。 デイリー新潮編集部
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