“料亭”経営者が逮捕で大阪「松島新地」に注目…飛田新地との大きな違いは「おっとりとした街の雰囲気」と「料亭の設備」
「私から言うたげるよ」
はたまた、ある店の壁にはこんな張り紙。 〈夜の部・昼の部 働きやすい、アットホームなお店 女の子募集(20才~32才) 仲居さん募集(35才~60才)〉 見入っていたら、「仕事探してるの?」と、客引きの女性から声がかかった。私は「仲居さん」の年齢もとうに超えているが。「いや、ええっと……」と口ごもるっていると、 「この仕事、初めて? 来る時間を守れるんやったら、私から(経営者に)言うたげるよ」 一般と共存する「おっとり」の街は、なかなか人懐っこいもよう。 よし、このノリだと「松島新地料理組合」を訪ねた。古めかしい「松島會館」内にある。電話番号が分からなかったから突撃である。受付にいた女性二人に、「このたびの逮捕の事件の真相を、組合の幹部の方に取材させてもらいたい」と申し込む。「報道されている通りです。取材は全てお断りしています」とにべもなかった。 ところが、11月19日、松島新地料理組合の桑原力理事長に電話取材がかなった。あの受付の女性たちが繋いでくれたのだ。過去の取材経験からも、不機嫌な対応やむなしと覚悟したが、桑原理事長は、開口一番「お世話になります」と穏やかな口調でおっしゃり、腰が低かった。
「組合としては20歳以上を推奨しています」
――まず、松島新地の概要から教えてくださいますか? 「今、料亭は80軒。我々は皆、公安委員会に風俗営業の許可を受け、保健所と消防からもOKもらって、合法に営業してるんです。防犯協会にも入ってますし」 ――なるほど。組合でルールもお決めになっていますよね。 「そう。時間は朝10時から夜12時まで。その時間内の、それぞれが開けられる時間に開けておるわけです。女の子は18歳以上なら働けますが、少年法とか関わってきますので、組合としては20歳以上を推奨しています」 料金も決まっていて、各店とも20分間1万3000円。「取り分」は、女の子と店が45%ずつ、客引きが10%だと淀みなく話してくれた。 ――桑原理事長はいつから理事長を? 年齢も聞いていいですか? 「私は力道山が活躍した昭和33年生まれなので、親が名前を“力”にしたんです。今、64歳。52で前任者から引き継いだから、理事長になって12年ですね。12年前は(料亭が)110軒ありました。跡継ぎがいないとか、ぼうっとやってきた人が手放すとか。減りましたねえ」 と、ここまでが取材のイントロだ。いよいよ本題に入る。