活用してる?「スマートウォッチ外来」受診者増加…「25%は無症状」悪性の不整脈の早期発見も可能
若い世代の不整脈は睡眠不足、飲酒、過労などが原因
Apple Watchでは心房細動以外の不整脈もキャッチする。心電図アプリで「判定不能」と表示された場合がこれに当てはまる。 「『判定不能』の中には、心臓のしゃっくりのような『期外収縮』、突然脈が速くなる『発作性上室性頻拍』といった不整脈が隠れていることがあります。不整脈専門医から診てもApple Watchの心電図はかなり高性能で、広い範囲で不整脈を検出してくれます」 ふだんの心電図を確認したり、日々の睡眠状態をチェックしたりと、医師にとっても患者を知るための情報が詰まっているスマートウォッチ。実際に外来を受診し、早期に不整脈を発見、治療をした患者がいるという。 「50代の男性は『心房細動』と表示されて、気になってスマートウォッチ外来を受診されました。心房細動と診断され、原因となっている心臓の一部を焼く『カテーテルアブレーション』で治療。無症状でしたが早期に診断ができ、治療後もスマートウォッチで経過観察しています」 心房細動の主な原因は、加齢で起こる心臓の衰えだが、若い世代の心房細動は乱れた生活習慣が関係している。 「睡眠不足や飲酒、過労、ストレスなど、誰でもやってしまいがちなダメな生活習慣は、心臓の大きな負担に。1日だけならたいしたことはありませんが、慢性的にこうした生活が続くと、不整脈を引き起こす可能性はあります。30歳を過ぎたら、睡眠や食事、運動など体のケアに目を向けることをおすすめします」 「何より体が資本」と気づき始めた世代にとって、スマートウォッチで自分の体を“知ること”は、健康になるための第一歩といえる。今後、スマートウォッチ外来を受診する人が増えれば、誰にでも起こりうる病気のリスクを減らすことができるだろう。 滝村由香子(たきむら・ゆかこ) 総合東京病院循環器内科医長。’23年8月より開設した「スマートウォッチ外来」を担当。Apple Watchを愛用中。専門は、循環器内科一般、不整脈、カテーテルアブレーション治療、心臓植込みデバイス治療。日本循環器学会認定循環器専門医、日本不整脈心電図学会認定不整脈専門医。 取材・文:釼持陽子:取材・文:釼持陽子 編集・ライター。1983年、山形県生まれ。10年間、健康情報誌の編集部で月刊誌・Webメディアの編集に携わったのちフリーランスに。現在はヘルスケア・医療分野などを中心に、医師や専門家の取材、企画、執筆を行う。
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