誰でもシャワーで思いついた鼻歌を楽曲に 話題の楽曲制作ギア『Chordcat』を試す
■気になっていたクラファンがスタートした 最近クラウドファンディングのプロジェクトがスタートして、音楽好きの間で話題の『Chordcat(コードキャット)』という製品をご存じでしょうか。これは8トラックのシーケンサーと150種類ものサウンドが収録された、いわゆる「音楽制作ギア」と呼ばれるモノです。 【画像】Chordcatに搭載されたプリセットの一部 FutureBassやDnBなど、人気ジャンルも 「これは面白そうだな」と気になっていた『Chordcat』。なんと今回、MakuakeとAlphaThetaのご厚意でデモ機をお借りできることになったので、「音楽は好きだが特に作曲活動はしていない人」が使って楽しめる製品なのか、試していきたいと思います。 この製品のユニークな点は、音楽理論を知らなくても、“なんか良い感じのコードを使った進行”を弾けること。『Chordcat』に搭載されている「Chord Cruiserモード」を使うと、選んだコードに対して「スムーズに繋がるコード」を複数個オススメしてくれるのです。 世の中には俗に「Just The Two of Us進行(丸サ進行とも)」とか「カノン進行」などと呼ばれる、定番のコード進行というものが存在します。こういった進行は聴き馴染みが良く、「なんとなく心地よい」と感じたりするので、J-POPなど大衆音楽でも多く使われている、いわば人気のコード進行です。音楽理論が分からなくても「なんとなくこの曲は聞き心地がいい」「このコード進行がオシャレでいいよね」といった感想は出てきますよね。 そういった「快・不快」を基準にしつつ、『Chordcat』がオススメのコードを提示してくれるので、感覚で音楽を作ることができるというわけです。 開発を手がけているのは「Pioneer DJ」ブランドや『rekordbox』など、DJ関係の製品で知られるAlphaTheta社で、かくいう私も『DDJ-FLX4』と『rekordbox』にはお世話になっているひとり。 そんなAlphaThetaから登場した『Chordcat』は、プロジェクト開始からわずか数日で400人を超える支援者が集まり、目標の50万円に対して約1200万円もの金額に到達しています。パーセントに直すと実に2300%超えと、もの凄い人気ぶりです。コード解析や楽曲の解析技術にも秀でた会社が作る製品ですから、オシャレなコードと進行がバンバン出てくるわけですし、みんなが期待するのも理解できます。 ■デモ機を触ってみる コードを鳴らすだけで楽しい! 実際に実物を触ってみたのですが、思った以上に「楽しく、やさしい」製品でした。「良い感じの音色とコード」が設定されたジャンル別のプリセットがいくつか用意されていて、気に入ったものをベースに自分でアレンジすることができるので、「機材を買ったはいいけど、0から作るのが難しすぎて触らなくなってしまった」ということが起きないのはうれしい。 ジャンルもなかなか豊富で、「Rock(ロック)」や「Pops(ポップス)」といった定番から、「Future Bass(フューチャーベース)」「DnB(ドラムンベース)」といった流行りのジャンルまで色々とあります。これらを設定して、音色を好きなものに変えて鳴らしていくだけでなかなか楽しめます。 プリセットを元にちょこっとコードを変えてみたり、音色を変えているだけで時間が溶けていきます。設定したコードやシーケンサーに割り当てた進行は本体に保存しておけるので、ちょっとしたスキマ時間にヘッドホンを繋いで遊ぶこともできちゃいますね。 音色をカスタマイズすることもできますし、リズムが跳ねるスウィングの設定や、手入力の録音から打ち込み(ステップ入力)にも対応するので、「これ一つで何でもできるんじゃないか?」と思わされる機材に仕上がっているのは、「さすがAlphaThetaだなあ」といったところ。 「同じような曲ばっかりになっちゃうんじゃないの?」と思う方もいるかもしれませんが、クラファンのページで公開されているデモを聴き比べてみればそんなことがないというのは分かってもらえるハズ。個人的にkamome sanoさんやTORIENAさんは好きでよく聴くのですが、ちゃんとそれぞれの“らしさ”が出た曲に仕上がっていますよ(特にkamome sanoのDrum&Bassなんかは「これぞ」といった仕上がり)。 コンポーザーや作曲をする人のアイデア出しに使えるのはもちろんですが、「脳内に俺の考えた最強の曲」を持っている人にはぜひオススメしたい製品です。シャワーを浴びながら鼻歌を歌って「今のメロディ、ちょっと良い曲になりそう」と考えたことのある音楽好きはきっと多いはず……(笑)。 『Chordcat』は有楽町の「b8ta Tokyo - Yurakucho」でも試奏できるそうなので、お近くの方は足を運んでみてはいかが? なお、今回は触りの部分をレビューしましたが、さらに詳しい識者によるレビューも予定しているので、そちらもお楽しみに。
三沢光汰