4-6月期に強い日本株アノマリー、株主還元や好決算評価で一段高も
(ブルームバーグ): 過去30年の歴史を見る限り、4-6月期の日本株相場は株主還元策や好決算に対する評価から上昇したケースが多く、今年もこうした季節性アノマリーを味方にもう一段買われる可能性がある。
ブルームバーグが取得可能な1994年以降のデータを見ると、4-6月期の東証株価指数(TOPIX)は平均で1.9%上昇し、他の四半期全てに対しアウトパフォームしている。5%以上下落した回数も最少だった。
ゴールドマン・サックス証券は、日本株市場では新たな会計年度が始まる4ー6月期に特に株価が好調に推移する傾向があると指摘。多くの企業が毎年6月に定時株主総会を開くため、その前の数カ月間に自社株買いや増配など株主還元策を発表するケースが多いと分析している。
実際、1株当たりの配当金と自社株買いの発表件数は増えており、TOPIXの12カ月先予想配当金は今年に入り7.4%増加し、伸び率は米S&P500種株価指数の2.1%など世界の主要株価指数を上回る。ブルームバーグのデータによると、自社株買いの発表も増え、1-3月期は前年同期比36%増だった。
また、4月下旬以降に発表が本格化する主要3月期企業の決算に対する期待が高まりやすいことも、4-6月期の株価上昇が期待される理由の一つだ。昨年同時期と比べ外国為替市場では円安が進んでおり、トヨタ自動車や日立製作所など時価総額上位の輸出企業にとって追い風となる可能性が高い。
3月末の円相場は対ドルで151円35銭と、1年前から14%円安に振れた。日本銀行が1日に発表した企業短期経済観測調査(短観、3月調査)によると、23年度の全規模・全産業の想定為替レートは1ドル=140円36銭だったため、利益が上振れる余地がありそうだ。
ゴールドマンのチーフ日本株ストラテジストを務めるブルース・カーク氏はリポートで、4-6月期中に日本株市場の焦点が「コーポレートガバナンス(企業統治)改革に回帰する」と予想。6月の総会シーズンに向け「株式持ち合いのさらなる解消が発表される」とみている。