似ていないけどハマっている…原作ファンを納得させたキャストは? ドラマ『【推しの子】』考察&評価レビュー
赤坂アカ×横槍メンゴによる大人気コミックを原作に、芸能界の光と影、大人気アイドル・星野アイを殺した犯人を追う映画『【推しの子】 The Final Act』が現在公開中だ。今回は、映画に先立ってプライムビデオで配信されたドラマ全8話のレビューをお届け。(文・菜本かな)【あらすじ キャスト 解説 考察 評価 レビュー】 【写真】ハマっている…原作ファンを納得させたキャストは? 貴重な劇中カットはこちら。映画『【推しの子】 The Final Act』劇中カット一覧
高すぎる実写化のハードル
「人気漫画の実写化で、炎上は免れない。宿命だよ」 11月28日より配信スタートしたドラマ『【推しの子】』(Prime Video)で、アクア(櫻井海音)がそう語っていたシーンがあった。たしかに、人気漫画の実写化作品で、荒れていないものってなかなか見たことがない。だいたいの場合は、キャストが発表された瞬間から「イメージと全然ちがう!」などという声が上がり、作品の公開を終えたあとも、「やっぱり、原作しか勝たん!」となってしまう。 実際に、『【推しの子】』の原作が大好きだった筆者は、漫画を読みながら「実写化するなら誰かなぁ」なんて考えたこともあるが、本当に制作されるとなると、「好きなキャラのイメージが壊れたら悲しい」という気持ちが強く出てしまった。アクアも言っていたが、そもそも漫画的な表現や、キャラクターが人気の作品を生身の人間で実写化すること自体、ハードルが高すぎるのだ。
【推しの子】実写化が成功した理由
とくに、『【推しの子】』の場合は、サスペンス要素が強いが、転生ものでもあるため、“実写化不可能”と言われるシーンがあまりにも多すぎた。たとえば、赤ちゃん時代のアクアとルビー(齊藤なぎさ)が、まるで大人のようにしゃべったり、スマホをいじったり、しまいにはアイ(齋藤飛鳥)のコンサートで、全力でサイリウムを振ったり…。 そのため、ドラマ版『【推しの子】』は、赤ちゃん時代のシーンをなるべくカットすることで、違和感をなくしていた。個人的には、『【推しの子】』のなかでも名シーンと言われているサイリウムを振るシーンが実写化でどうなるのか見てみたかった…という気もあるが、ドラマ版『【推しの子】』を通して、作り手側の苦悩がひしひしと伝わってきたため、そうわがままを言うこともできない。 また、原作ファンから必ずツッコまれるであろうポイントを、逆張りで台詞に入れていたのも、ドラマ版『【推しの子】』が成功した所以と言えるだろう。たとえば、原作者と脚本家の対立が描かれた第5話では、“漫画を実写化することのむずかしさ”をさりげなく伝えながら、アクアとあかね(茅島みずき)に、「子ども時代の話は、ほとんどカットされてるもんね」「ハイテンポな掛け合いができる子役なんて、まずいないからな。乳児が踊り出すなんて、もってのほかだ」「CG使ってもむずかしそう」と語らせる。 実写化に対して、どうしても嫌悪感を抱いてしまう人は、ぜひドラマ版『【推しの子】』を見てみてほしい。
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