似ていないけどハマっている…原作ファンを納得させたキャストは? ドラマ『【推しの子】』考察&評価レビュー
アイを演じた齋藤飛鳥の完成度は?
正直、キャストが発表されたときから、「この実写化は絶対に成功する!」と思えていたわけではない。まず、アイを演じた齋藤は、もちろんビジュアルは完璧だし、大人気アイドルグループ・乃木坂46のエースとして活動してきた実績もある。ただ、齋藤はアイとは対極に位置するタイプなのでは? と思っていた。たとえば、アイが太陽だとしたら、齋藤は月。どちらかというと、影を纏っている印象が強い。しかし、実際にドラマを見てみると、「アイが実在していたら、こんな子だったんだろうな…」と思わされた。それはきっと、齋藤の演技力とオーラがあったからこそだと思う。 また、アイとアクアとルビーは、漫画のなかでは目に星を宿しているのだが、これもなかなか完全再現するのがむずかしい。「星の模様が入ったカラーコンタクトをつけるのかな?」なんて思っていたが、そこは役者陣の表現力で見事にカバーできていたと思う。とくに、ルビーを演じた齊藤は、アイドルになるという目標に向かい、全力で進んでいるときの“光”に満ちた瞳と、“闇”堕ちしたあとの瞳を見事に演じ分けていた。
原菜乃華と“有馬かな”の整合性
アクアを演じた櫻井海音は、正直なところ、原作漫画のアクアにビジュアルが似ているわけではない。しかし、そんなことを気にさせないほどの演技力を持っているため、筆者のまわりでは「アクアがいちばんハマり役だった」と言っている人が多かった。 個人的に、いちばんハマり役だったと感じたのは、原菜乃華が演じた有馬かな。有馬かなは、原作漫画では赤髪のため、原もカラーリングをして撮影に挑むのかと思ったが、ドラマ版ではライトが当たると赤っぽく見える…くらいの自然な髪色になっていた。原作を何から何まで踏襲するのではなく、「そのキャラが実在していたら、どんな風になるのか?」を重視していたのが、原が演じた有馬かなだったように思う。 また、現在放送中のドラマ『民王R』(テレビ朝日系)でも演技力を見せつけていたあのは、MEMちょ役でも存在感を発揮していた。あのも、齋藤と同じくどちらかといえば陰よりのキャラクターだと思うが、ゴリゴリの陽キャ・MEMちょを違和感なく演じきっていたのだから、すごい。 そして、物語の鍵を握るカミキヒカル役には、二宮和也ときた。アイドルとして、一時代を築いてきた二宮が、アイドルをテーマに掲げた作品に出演するというのも、ファンにとってはエモーショナルを感じるポイントなのではないだろうか。そのほかにも、成田凌や金子ノブアキ、倉科カナなど、実力派キャストが勢揃い。まさに、成功するべくして成功したとも言えるドラマ版『【推しの子】』。まだの方は、ぜひチェックしてみてほしい。 【著者プロフィール:菜本かな】 メディア学科卒のライター。19歳の頃から109ブランドにてアパレル店員を経験。大学時代は学生記者としての活動を行っていた。エンタメとファッションが大好き。
菜本かな
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