怠けているわけじゃないのに…締切ギリギリまでやる気が出ない「発達障害グレーゾーン」の女性の「生きづらさ」
仕事も先延ばし、いつも残業の日々
仕事についても、ギリギリになるまでやる気が出ず、締め切り直前に何とか取りかかっても時間が足りず、雑な仕上がりになってしまうことがよくあります。特に、現在の部署に異動してから1年目ということもあり、新しい環境に慣れるのに時間がかかり、残業が増える悪循環に陥っています。定時は17時30分ですが、みさきさんがオフィスを出るのはいつも21時や22時です。30年後の自分を想像し、この状況が続いているかと思うと不安を感じます。
自分は発達障害のグレーゾーンではないか?
これらの自分の悩みについて、ADHDではないかと思い、ネットで調べてみました。しかし、大学時代まではギリギリでなんとか乗り切れてきたことや、現在もなんとか期限を守ってこなしていることを考えると、障害というほどではないのではないかと感じてしまいます。また、病院に行っても診断が出なければ「ただの怠けだ」と言われるのではないかという不安があり、受診することが怖くて踏み出せずにいます。 そんな中で、「診断には至らないが、発達障害の傾向に悩む人をグレーゾーンと呼ぶ」ということを知り、筆者のカウンセリングルームに訪れました。
「発達障害グレーゾーン」とは?
「発達障害グレーゾーン」とは、発達障害の診断基準には達しないものの、その傾向を持っている状態を指す俗称です。医学的な用語ではなく、正確な定義があるわけではありません。 近年、発達障害の概念が広く知られるようになり、自らを「グレーゾーン」と認識する人が増えています。発達障害の特性は、白と黒のように明確に分けられるものではなく、薄いグレーから濃いグレーまでの連続したグラデーションで表されます。実際には、完全に「白」や「黒」という人はおらず、誰もがそのグラデーションのどこかに位置しているのです。 その特性の表れ方の濃さ(グレーの濃さ)によって、発達障害の診断基準を満たすかどうかが決まります。しかし、診断基準にギリギリ達しない「やや濃いグレー」の人はどうすればよいのか、という問題が浮かび上がります。例えば、みさきさんのようにグレーゾーンに当てはまる人の多くは、発達障害の診断基準を満たす人と同じように生活に困難を感じています。