オーガスタから川奈へ 「美と魔物」が同居、日本で唯一「世界ゴルフ場100選」にランクイン フジサンケイレディスクラシック
【SPORTS BAR】 米男子の〝ゴルフの祭典〟「マスターズ」(米ジョージア州)は、世界ランキング1位のスコッティー・シェフラー(27)が11アンダーで2年ぶり2度目のグリーンジャケットを羽織って幕を閉じた。日本勢は3年ぶり2度目の優勝を目指した松山英樹(32)が38位タイ、初出場の久常涼(21)は無念の予選落ちだった。 タイガー・ウッズ(48)が復活した。マスターズで過去5度の優勝を誇り、今大会で歴代1位となる24年連続予選通過という快挙である。2月の「ジェネシス招待」では体調不良で棄権したが、「マスターズは特別な大会。オーガスタは特別な場所…」とカムバックである。オーガスタの〝パトロンたち〟が惜しみない拍手で称賛する姿は感動的だった。 それにしても会場のオーガスタナショナルGCは美しい。過去一度、現地で見た。フェアウエーはまるで〝緑の絨毯〟。思わず頬ずりしたくなった。巧みにレイアウトされた18ホールの景観に目を奪われた。美と裏腹に魔物が棲むといわれるほど難易度が高い。ピンポイントショットの精度が要求され、グリーンはガラスの上を転がすかのように速い。世界一美しいと呼ばれるオーガスタの魅力と〝魔力〟である。 日本にもオーガスタと同様、美と魔物が同居する風光明媚なコースがある。今週19日に開幕する女子ゴルフ「フジサンケイレディスクラシック」(静岡)の大会会場、川奈ホテルGC富士コースである。 眼下に太平洋を望むシーサイドコース。大会の16番(パー5)は左側はすべて海に面しており海からの風に悩まされる。17番(パー3)は打ち上げの小さな砲台グリーン。ティーイングエリアからグリーンまでフェアウエーはない。外せば手前、右側は崖下のラフ、左も崖下バンカーとなんとも厄介だ。最終18番(パー4)も長い打ち上げで手前も奥もバンカー。難易度の高さからオーガスタに倣い、「アーメンコーナー」と呼ばれる。 2年前、17番で藤田さいきがホールインワンをした。15年には最終18番で藤田光里がグリーン奥からチップインバーディーを決めて優勝と〝アーメンコーナー〟でドラマが生まれた。米国ゴルフマガジン誌が選ぶ23―24年度世界ゴルフ場100選53位にランクインした川奈。日本で唯一選ばれた。オーガスタナショナルから川奈へ。コースの〝美の競演〟を瞼に焼き付けながら、熱いドラマを楽しみたい。 (産経新聞特別記者・清水満)