「ゴルフの優先順位は間もなく変わる」シェフラーが語るマスターズ2勝目
「マスターズ」で2年ぶりの優勝を飾ったスコッティ・シェフラーはいま、男子ゴルフ界を席巻している。PGAツアーで9勝。そのうち3勝はここ4試合で手にしたものだ。世界ランキング1位の座をいっそう確固たるものにした27歳がPGAツアーのオリジナルコラムでオーガスタでの戦いぶりを振り返った。 【画像】スマホ撮影なしのフィナーレ
長い、長い1週間
By スコッティ・シェフラー 言い尽くせないほどの、特別な勝利だ。チャレンジングなコースを相手に、長く、厳しい1週間。グリーンジャケットにもう一度袖を通して、家に帰れることほど素晴らしいものはない。 2年前のマスターズは金曜日の午後にはリードを築いて、それからは心地よくプレーできた。ところが今大会は、1週間のあいだずっと激しく戦っていたような感覚だった。木曜日はすごい風が吹く中で良いスコア(66)を出し、金曜日、土曜日も懸命に戦った。とくに金曜午後のコンディションの難しさと言ったら、表現しようがないほどだった。何度もアップダウンを繰り返す、長い、長い週だった。 どんな世界でもそうであるように、人の心は少しずつ揺らぎ始める。ゴルファーは4時間、5時間と戦いながら、ずっと心を惑わせている。そんなとき僕は、オーガスタで木々を見上げたり、パトロンの様子を見てエネルギーをもらったりして、心を落ち着かせようとした。 リードしていても決して守りに入らず、常にプッシュし続けた。少しでもディフェンシブになれば、まったく違うフィニッシュになっていたはずだ。13番(パー5)でも2オンさせてバーディを奪ったし、14番でもとにかくピンを狙ってバーディにした。15番(パー5)はナイスパー。そして16番(パー3)でも良いショットをバーディに繋げた。バックナインでずっとパーを狙っていたら、18番でも絶対にパーが必要だったし、(2位の)ルビドグ(オーベリ)のスコアが伸びないよう願わずにはいられなかったはずなんだ。
勝利の行方は十字架の上に
日曜日の朝は2年前とは全く違うものだった。当時は2人だけで一緒にいたメレディス(夫人)は今回、出産を控えて自宅にいて、僕はチームの仲間と一緒に、あまりゴルフのことを考えないように努めた。みんなが支えてくれて、長い朝だったけれど、うまく過ごすことができた。 僕は仲間たちに「プレッシャーを感じている。それほど勝ちたいとは思わない」と言ったんだ。そうすれば最終日の朝を迎えられると思った。でも僕は勝つことが好きで、負けることが大嫌いだ。最高の瞬間を前にしていたら、日曜日にリードしていたら、絶対に勝ちたいと思う。 仲間たちは僕に「勝利の行方は十字架の上にあるものだ」と言った(シェフラーは敬虔なクリスチャンでもある)。それで気持ちが整った。この試合を勝とうが負けようが、僕は僕でしかない。戦い、楽しめば一日は終わる。コースで最高の技術を表現しようと考えた。小さい頃から僕はずっとそうやってきた。