テレビから消えた「アンゴラ村長」がグラビアで“復活” 女性芸人が解放された「暗黙のルール」とは
昔は男性中心社会
また、かつては女性のグラビアというと、男性向けの媒体でセクシーさを売りにするようなものが多かったのだが、最近ではそれだけにとどまらず、明るく健康的な美しさを見せるようなものも出てきている。グラビアのカジュアル化が進んだことで、女性芸人も抵抗なくそこに入っていけるようになってきた。 2つ目の理由は、お笑い界で女性芸人の地位が上がったことだ。かつてのお笑い界では「芸人、かくあるべし」という暗黙のルールのようなものが存在していて、そこから逸脱することは許されないとされていた。 また、昔のお笑い界は今以上の男性中心社会だったため、そのようなルールが男性目線で作られているようなところがあり、女性芸人もそこに縛られていた。 男性芸人は女性ファンに対して媚びるようなことをするべきではない、と思われていたのと同様に、女性芸人も女性らしさを売りにして男性ファンを惹きつけるようなことはしてはいけないと考えられていた。 しかし、一般社会で女性の地位が向上していくのに伴って、お笑い界でも女性芸人の立場が少しずつ強くなり、生き方や活動に多様性が認められるようになってきた。そんな中で、芸人がグラビアに挑戦するのもそれほどおかしいことだとは思われなくなった。 グラビア業界自体が異業種参入で活気づいている一方、女性芸人も多様な生き方を認められるようになってきた。女性芸人のグラビア進出は、ダイバーシティが重視されるようになった現代社会を象徴する出来事なのだ。
ラリー遠田 1979年、愛知県名古屋市生まれ。東京大学文学部卒業。テレビ番組制作会社勤務を経て、作家・ライター、お笑い評論家に。テレビ・お笑いに関する取材、執筆、イベント主催など多岐にわたる活動を行っている。お笑いムック『コメ旬』(キネマ旬報社)の編集長を務めた。『イロモンガール』(白泉社)の漫画原作、『教養としての平成お笑い史』(ディスカヴァー携書)、『とんねるずと「めちゃイケ」の終わり 〈ポスト平成〉のテレビバラエティ論』(イースト新書)、『逆襲する山里亮太』(双葉社)『お笑い世代論 ドリフから霜降り明星まで』(光文社新書)など著書多数。 デイリー新潮編集部
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