早くもネタ切れ?「新プロジェクトX」8月は未だ放送ゼロ “旧作アンコール”も頻発でNHK内部からも冷ややかな視線が
第4回で再放送
「4月27日、第4回の放送は『厳冬 黒四ダムに挑む~断崖絶壁の輸送作戦~』で、これは2000年6月27日に放送された旧シリーズの再放送でした。鳴り物入りでスタートしたわりには1カ月で早くもネタ切れかと思ってしまいました。そもそもNHK上層部の肝いりでスタートした番組ですからね」 それにしても、NHKはよくよく黒四ダムがお好きなようだ。再放送した回のほかにも、旧シリーズでは05年10月に2週にわたって取り上げている。また、02年に中島みゆきが「紅白歌合戦」に初出場した際には、黒四ダムから生中継したことを覚えている方も少なくないだろう。 「5月11日の第5回は『世界最長 悲願の吊り橋に挑む~明石海峡大橋 40年の闘い~』、5月18日の第6回は『友とつないだ自動車革命~世界初! 5人乗り量産EV~』と題して2010年12月に販売された日産リーフの開発物語を放送しましたが、当初はサブタイトルに“5人乗り”という言葉は入っていませんでした。放送後、世界初の量産EVは09年7月に販売された三菱i-MiEV(4人乗り)であることが判明したため、サブタイトルを変更したのです」 さらに、第1回放送のスカイツリーに関しても、公式ホームページで《構造設計を担った日建設計の小西厚夫氏が耐震性を高めるために心柱を生み出した際の思いについて、「あらゆる地震、たとえ東海、東南海、南海地震が同時にやってきても耐えられるように」と番組として表現しました。しかし、当時、小西氏がより強く意識していたのは、「大きな地震の後もスカイツリーから放送電波を出し続け、被災地に情報を届けること」でした》と訂正されている。NHKオンデマンドでは、この部分のナレーションを変更して配信している。
旧シリーズの問題点
「早くもほころびが出てきました。実は旧シリーズも、さまざまな矛盾や事実誤認が指摘された番組でした。中でも05年5月10日放送の『ファイト! 町工場に捧げる日本一の歌』は、荒れていた高校に熱血教師が現れて合唱部を作り、全国コンクールで金賞を取るまでを描いたドラマ『スクール☆ウォーズ~泣き虫先生の7年戦争~』(TBS)さながらの内容だったのですが……」 番組放送後にOBから「事実と異なる」という指摘が複数寄せられ、高校からも再放送の中止などを求める書面が提出された。これに対しNHKは、高校の荒れ方を描くのに暴走族の資料映像を使ったこと、「退学者が毎年80人」と裏付けのない数字を使ったこと、確認せずに「コンクール会場にパトカーが来た」とした点など、行きすぎた表現があったことを認めて謝罪することに。 「この放送がきっかけで、旧シリーズは終了したと言われています。テレビマンとしてドラマチックに演出したくなる気持ちはわからなくはありませんが、ここまで行くとヤラセと言われても仕方ない。その当時、現場では『取り上げる対象がなくなってきた』という声が上がっていたそうです。そのスタッフを再集結させたのが新シリーズです」 稲葉会長は《(番組で取り上げるべき人が)多くいらっしゃることを知っていた》と語っていたが、新シリーズは6月1日の第8回も再放送に。