内山氏とメイウェザー“合体”でKO賞金マッチ開催
そして、今回、あのビッグネームと“合体”することになった。メイウェザーが、日本のIR法案に基づくカジノ開業をみすえ、ビジネス展開するために立ち上げた会社のTMTジャパンが、大会をスポンサーとしてサポート、パートナーとして全面バックアップすることになったのだ。 TMTジャパンの大柴哲CEOは、「ボクシング界の底上げ、盛り上げるために協力したい。TMTとしては、ボクシングで進んでいきたいし、メイウェザーの来場や、彼のプロデュースする弟子を送り込んだり、世界王者を呼ぶ展開もある」とコメントした。 今回のトーナメントには間に合わないが、来年のワンマッチ興行には、メイウェザーの刺客が登場する可能性があるという。 メイウェザープロモーションは、多くのボクサーを抱えており、“リトルタイソン”と呼ばれ話題沸騰中のWBA世界スーパーフェザー級王者、ガーボン・デービス(24、米国)も所属選手の一人。先日、13連続KOで防衛したばかり。内山は、「デービスは危険でしょう」と苦笑いを浮かべるが、一度は、那須川天心とのエキシビションマッチでの対戦候補としても名の挙がったボクサーだ。 メイウェザーは、年内に独自の格闘イベントを日本で行うことを計画中。天心戦に続きエキシビションマッチのリングに自ら立つ考えもすでに明らかにしているが、格闘界にとってボクシング界の敷居は高い。先日、JBCと協会が共同で、非ボクシング排除の声明を表明したばかり。「JBCのルールにのっとってボクシングを進めていきたい」と、大柴CEOが語るが、メイウェザーの本領は、やはりボクシング。カジノに併設されるホールなどの施設で、ボクシング興行を行うためには、ボクシングとの正式なかかわりが必要で、今回、DANGANとのタッグを参入の足がかりにしようという狙いがある。 瀬端会長にも「ウチはスポンサー集め、資金集めが不得意なのでTMTジャパンさんの協力は大きい。いい試合を組むには資金が必要。この興行が、将来的にカジノにつながれば面白い」と考えがあり、両者の思惑が一致しての“握手”となった。 実は、そのメイウェザーのエキシビションマッチの対戦候補として、内山氏が正式にオファーされていた。TMTジャパンの幹部が内山氏の経営するジムを訪れ交渉している。だが、体重を「普段は62キロ、朝のロードワークを終えれば60キロ切る」くらいに節制している内山氏が、70キロはあるメイウェザーとエキシビションマッチを行うには体重差がありすぎて危険。加えて、色モノの試合に見られることを内山氏が嫌ったことなどを理由に断ったという経緯がある。 賞金マッチには、内山氏が推薦する選手を出場させる特別枠も検討されており、来年以降は「アマチュアから引退したばかりの力のある選手が絡めば面白いし、いろいろな選手を発掘できる」(内山氏)という計画もある。メイウェザーの刺客と内山氏の推薦選手が、内山vsメイウエザーの“代理戦争”として実現する可能性もあるだろう。 プロボクシングで長く守られてきた伝統と権威は決して汚してはならない。だが、令和の時代にプロボクシング界は、ファンファーストのプロスポーツとして変わっていかなければならないという現実に直面している。プロボクシング界がどう変わるか。「DANGAN」の試みに注目である。 (文責・本郷陽一/論スポ、スポーツタイムズ通信社)