独島のネズミ【萬物相】
島国のニュージーランドには、もともとネズミがいなかった。しかし、ポリネシア人に続き、欧州人が島に入って来た際に、茶色のネズミや黒いネズミが流入し、大きな問題となった。飛ぶことができない在来種の鳥をネズミが攻撃し、産んだ卵を手当たり次第に食べてしまったためだ。ニュージーランド政府は、ネズミなどの有害動物が毎年キウイなど2500万羽の在来種を殺していると発表した。ニュージーランドは2050年までに自国内のネズミを全滅させる計画を立てている。 【写真】何の変哲もない「ネズミの穴」 SNSきっかけで新たな観光名所に /米シカゴ
米ニューヨーク市は「ネズミ王国」というニックネームがあるほど、多くのネズミに頭を悩ませている。街と地下鉄にはネズミがはびこり、これを見物する観光プログラムまでが登場したほどだ。ニューヨークのネズミは体長が50センチ程度で、他のネズミに比べるとはるかに大きく攻撃的で、嫌悪の対象となっている。米ニューヨーク市はネズミの薬を散布したものの、他の動物が食べて死ぬなど2次被害が続出すると、ネズミに避妊薬を飲ませ、個体数の増加を抑制する案をまとめた。 ネズミの掃討が困難なのは驚くべき繁殖力のためだ。生後5カ月が過ぎると妊娠可能で、妊娠期間はたった21日にすぎない。1年に6-8回子どもを産み、1回に6-10匹出産する。イエネズミの雌雄のつがいは1年に子ネズミを最大で460匹も産むという。ネズミ100匹のうち98匹を捕まえても、2匹が雌雄であれば、原状回復するのは時間の問題だという。しかも、雑食性であるため手当たり次第に物を食べ、環境適応能力も備えている。 独島に数百匹のイエネズミが出没し、環境部(日本の省庁に相当)が「掃討作戦」を展開している。イエネズミが独島全域に広がったことで、渡り鳥であるウミツバメや鍬(くわ)カモメ(ウミネコ)の卵を食べてしまうなど、生態系を乱しているためだ。2008年に西島で初めて発見されたものは、工事のための建築資材を持ち込む過程で紛れ込んだものと思われる。その後は個体数が増え、東島にまで拡大した。驚くべきはその生存力だ。東西間の最短距離は約151メートルで、波は荒いが、その距離を泳いで渡ったのだ。 独島のネズミ掃討作戦は容易ではなかった。猫などの天敵を投入する案は、他の渡り鳥まで攻撃してしまう恐れがあるため白紙化された。ネズミの薬とネズミの避妊薬は、他の天然記念物の動物が食べて被害を被る恐れがあるため、実行できなかった。そこで採択された方法がネズミ捕りだ。1980年代、独島に放したウサギが数百匹に増えたことで木を枯らしてしまうと、掃討作戦に乗り出した。独島に「イノコズチ」という植物がウミツバメの巣の近くにまで増え広がり、鳥がとがった実に引っ掛かって死ぬケースが増えたことで、除去作戦を展開したこともある。両作戦とも功を奏した。独島のネズミも撲滅したというニュースが発表されることを願う。 キム・ミンチョル記者