『雨の中の慾情』など邦画3作品が選出 第37回東京国際映画祭コンペ部門ラインナップ発表:第37回東京国際映画祭
作品について片山監督は「撮影の9割が台湾」と述べると「なかなか見ることができない町の風景を楽しんでいただければ」と見どころを語ると、大九監督は「(萩原利久や河合優実といった)若い俳優たちと作った映画。若い人たちだからこそ、普段思っている些細なこと、嫌だと思うことなどをどんどん盛り込んでいこうと、今まで以上に私の言いたいことを盛り込んだわがままな映画になっています」とアピール。
吉田監督は、筒井康隆の同名小説を映画化したが「コロナが始まったころ、少し早めの老人生活が始まったと思ったんです。そのとき昔読んでいた本を読み返しました。筒井さんの小説は若いころから読んでいたのですが、すごくハマった」といきさつを明かし、モノクロの映像に「主人公のストイックな生活を描くのに抑制的なモノクロがあっているのかなと思ったんです。モノクロ映画は初めてだったのですが、撮ってみて観る側の想像力が最大限に持ち上がる。思った以上に豊かだった」と満足そうに語っていた。 また今年から新たに「ウィメンズ・エンパワーメント」部門を設立。ドイツから香港、テヘランから近未来的日本まで、女性の複雑な諸相を描いた女性監督による作品を特集する。シニア・プログラマーのアンドリヤナ・ツヴェトコビッチ氏は「いまデジタルテクノロジーの貢献により、個性的で豊かな女性クリエイターたちがたくさん台頭しています」と期待を口にしていた。(磯部正和)
第37回東京国際映画祭コンペティション部門出品作
『アディオス・アミーゴ』(イバン・D・ガオナ/コロンビア) 『小さな私』(ヤン・リーナー/中国) 『死体を埋めろ』(マルコ・ドゥトラ/ブラジル) 『士官候補生』(アディルハン・イェルジャノフ/カザフスタン) 『娘の娘』(ホアン・シー/台湾) 『英国人の手紙』(セルジオ・グラシアーノ/ポルトガル) 『彼のイメージ』(ティエリー・ド・ペレッティ/フランス) 『雨の中の慾情』(片山慎三/日本・台湾) 『わが友アンドレ』(ドン・ズージェン/中国) 『お父さん』(フィリップ・ユン/香港) 『大丈夫と約束して』(カタリナ・グラマトヴァ/チェコ) 『今日の空が一番好き、とまだ言えない僕は』(大九明子/日本) 『敵』(吉田大八/日本) 『トラフィック』(テオドラ・アナ・ミハイ/ルーマニア・ベルギー・オランダ) 『チャオ・イェンの思い』(ミディ・ジー/中国)
第37回東京国際映画祭は10月28日~11月6日まで、日比谷・有楽町・丸の内・銀座地区にて開催