66歳の年上妻が心筋梗塞で急逝、突然の別れに呆然自失の53歳男性に告げられた「遺族年金ゼロ」の通達に「血も涙もない」
「老後は夫婦支えあっていく」と考えていても、何が起こるか予想がつかないもの。そんな万一のときに助けとなるのが遺族を経済的に支える年金制度「遺族年金」です。とはいえ、誰でも受け取れるわけではなく、受け取れたとしても働き方などによって受給額が変わります。場合によっては「受け取れる金額がゼロ」ということも……。事例と共に見ていきましょう。 【早見表】年収別「会社員の手取り額」
遺族年金を受け取るための要件
配偶者が亡くなった後の生活を支えてくれる「遺族年金」。遺族にとっては心強い給付ですが、受給には要件があり、支給額も一律ではないため注意が必要です。 まずは遺族年金について簡単におさらいしておきましょう。遺族年金は「遺族基礎年金」と「遺族厚生年金」に分かれます。国民年金の加入者が亡くなったときに遺族が受け取れるのが「遺族基礎年金」。個人事業主やフリーランスなどが該当します。一方、会社員など厚生年金の加入者が亡くなったときには「遺族基礎年金」のほかに「遺族厚生年金」も受け取れます。 ここで気を付けたいのが、遺族基礎年金の対象になるのは「18歳未満の子がいる配偶者または18歳未満の子ども」という点。つまり、子どもがいなければ対象になりません。受給額は年81万6,000円の基本額(2024年度)と子どもの加算額。第2子まで年23万4,800円で、第3子以降は年7万8,300円です。 一方の遺族厚生年金にも要件があります。対象になるのは妻と18歳未満の子ども、そして夫については妻が亡くなった時の年齢が55歳以上という縛りがあります。受給額は亡くなった人の老齢厚生年金(報酬比例部分)」に4分の3を掛けた額です。 さらに、遺族の収入要件がある点も見逃してはならないポイントです。遺族基礎年金、遺族厚生年金ともに、遺族の年収が850万円(所得金額655万5,000円)以上になると、対象外となり受け取ることができません。 また意外と見落としがちですが、遺族年金は自ら請求しないと受け取ることができませんので、故人を失った悲しみの中でも忘れずに手続きする必要があります。 このように遺族年金には様々な要件があり、すべての人が一律で同額を受け取れるわけではありませんし、そもそも対象外になるケースもあるわけです。 続いて、そんな遺族年金の落とし穴にハマった飲食店勤務の佐藤さん(53歳)のケースを見ていきましょう。