ザックの場当たり采配の死角
■大久保「まったく違うチームになっていた」 4年前の戦い方と似てるな――。リードを許した直後にピッチに立った大久保は、そう感じていた。相手にボールを回され、左サイドで守備に奔走することになり、守備重視で臨んだ4年前、南アフリカW杯の記憶が蘇ってきたという。「俺はこの前、このチームに入って、3試合(キプロス戦、コスタリカ戦、ザンビア戦)をこなしましたけど、まったく違うチームになっていた」。 また、大久保は自身が1トップに入り、岡崎が左、香川が右に回った際についても「指示が聞こえなくて、混乱した」と明かしている。
攻撃的なスタイルで主導権を握って世界に勝つ――。壮大な野望を持ってコートジボワール戦に臨んだが、スタイルを発揮できず、主導権は最後まで握れなかった。シュート数は7本対20本。ボール支配率は42パーセント対58パーセント。本田の素晴らしいシュートで先制したまでは良かったが、ほぼすべての時間帯で主導権を握っていたのは、コートジボワールのほうだった。 ■長友「走らされて体力を消耗させられた」 日本は南アフリカ大会のように、守備重視で臨んだわけではない。コートジボワールによって、自分たちのスタイルを出させてもらえなかったのだ。コートジボワールが決して素晴らしい出来ではなかっただけにショックは大きく、力負けと言うしかない。「1点取ったけど、いい入り方は出来ていなかった」と振り返ったのは長友だ。 「ラインも低く、相手にボールを回され、走らされて体力を消耗させられた。相手は軽くボールを回しているだけで、僕らも前からハメて行こうとしていたけれど、奪いどころがなかったのが正直なところ」。 相手ボールになると大迫と本田が2トップ気味に並び、相手のDFラインにプレッシャーを掛けていった。だが、コートジボワールは2人のボランチを、ディフェンスラインに下げて“逃げどころ”作って掻い潜ってきたため、思うようにハメられなかった。中盤にボールが入ると今度は高いキープ力を誇るヤヤ・トゥーレやジェルビーニョからボールが奪えず、縦パスを入れられたり、ドリブル突破を許してしまった。この日、ボランチにはキプロス戦以来の出場となる長谷部が入ったが、試合勘が鈍かったのか、チェックやマークが甘かった点も否定出来ない。