能の精神創作ダンスに 仏出身・アリスさん 4月に試作披露へ稽古
金沢を再訪しているフランス出身のアリス・ミルーイさん(26)は、能の精神性を取り入れた創作モダンダンスに挑戦している。6日、此花町の道場で能の稽古が行われ、アリスさんは混乱を越えて平穏を祈る「修羅能」と向き合い、新境地への意気込みを新たにした。4月20日、県立能楽堂で鼓の独調とダンスの試作を披露する。 この日は県内の能楽師有志でつくる「百万石能の会」の代表で能楽小鼓幸流(こつづみこうりゅう)職分(しょくぶん)の河原清さん(70)らから、小鼓と仕舞の指導を受けた。約1年かけて修羅能の代表曲である「八島」「田村」などに打ち込む。 ベルギーでダンサーを目指して演劇学校に通っていたアリスさんは能楽と出合い、2021~23年3月に来日して百万石能の会で小鼓を習った。謡や仕舞も学びたいと昨年11月から再来日している。京都で創作モダンダンスに励み、金沢では月2回の能の稽古に参加する。 アリスさんは能登半島地震の被災地に心を寄せ、「ダンスは言葉にできないものを表現する方法。能の『祈り』が届き、見る人の心が少しでも軽くなればうれしい」と話した。