実は新型アコードはASIMO由来のテクノロジーを初採用した4輪車だった?!その技術とは?
多彩なキャラを表現する可変ダンパーサスペンションを標準設定
ご存知のようにダンパーというのは、路面からの入力に対して振動を減衰させ、乗り味を整えるパーツだ。アコードのアダプティブダンパーシステムは、4輪それぞれのダンパー減衰力を独立して可変させることで、乗り心地とハンドリングを高次元で両立しようというのが狙いのメカニズムだ。 その制御における注目ポイントが、ホンダの四輪車としては初採用となった「6軸センサー」となる。 ヨーレート/前後G/横Gという要素に加えて「ロールレート/上下G/ピッチレート」という6つの要素をセンシングすることで、車両挙動をより細かく検知して、可変ダンパーの減衰調整を適切に行うというものだ。 また、新型アコードには「モーションマネジメントシステム」と呼ばれる、ピッチモーション制御も搭載されている。これはステアリング操作に応じて、前輪荷重を最適化するようコントロールするというもの。ワインディング試乗では、ボディサイズを感じさせないスッとノーズが入っていく様を確認できた。 こうして電子制御によって曲がる感覚というのは、たしかに「レジェンド」を思わせる部分もある。SH-AWDによってグイグイと曲がるレジェンドほどではないが、ホンダのフラッグシップセダンらしい乗り味はアコードにも与えられている。
ASIMO由来の6軸IMUは二輪でも使われる
アコードで初採用されたという「6軸センサー」だが、バイクファンにとっては「6軸IMU(慣性測定ユニット)」としておなじみのデバイスかもしれない。 事実、ホンダの2輪では6軸IMU搭載モデルは存在している。ホンダ自身が「4輪として6軸センサーを初採用」と表現しているのは、そうした背景があるといえる。 しかしながら、こうした加速度と角速度を同時に精密に測定するこで姿勢制御に利用しようというアイデアは2輪由来といえなかったりもする。試乗後にアコードの開発陣からヒアリングしているときにも、6軸センサーを利用している点について「ASIMOで培った技術を活かしています」という話もあった。 ご存知のように、ASIMOというのはホンダが長らく研究開発していた人型ロボット。2足歩行だけでなく、走ったり、階段を昇り降りしたりと、まさに人型にふさわしい移動をする能力を持っていた。そうした制御にIMUは欠かせないデバイスだったということで、ホンダには他にはない知見が溜まっているのだという。 新型アコードはASIMOをルーツとするテクノロジーによって、多面的な走りのキャラクターを実現しているのだ。そう考えると、新型アコードが令和のフラッグシップセダンとなるのは、ホンダというブランドにおいてふさわしい。 なお、各種ショーなどでホンダが披露している一人乗りの小型モビリティにおいてもASIMO由来の「転ばない」技術は自立機能に活かされている。人型ロボットの開発は休止してしまったホンダだが、ASIMOの魂は新型アコードをはじめ、各モデルの中に息づいている。
アコード主要諸元
アコード e:HEV 全長×全幅×全高:4975mm×1860mm×1450mm ホイールベース:2830mm 車両重量:1580kg 排気量:1993cc エンジン:直列4気筒DOHC 最高出力:147PS(108kW)/6100rpm 最大トルク:182Nm/4500rpm モーター:交流同期電動機 モーター最高出力:135kW モーター最大トルク:335Nm 駆動方式:FF トランスミッション:電気式CVT WLTCモード燃費:23.8km/L 最小回転半径:5.7m タイヤサイズ:235/45R18 乗車定員:5名 メーカー希望小売価格:544万9400円
山本 晋也