ソウル梨泰院雑踏事故の教訓、韓国よりしっかり実践する日本【長谷部健・渋谷区長インタビュー】
「韓国の事故がひとごとではなかったからです。実はハロウィーンのたびにあまりにも多くの人が集まっていて、(渋谷も)危ないという認識がありました。(渋谷区内の)原宿ではヒヤリとした瞬間も何度かありました。交流サイト(SNS)で『人気アイドルが現れた』と拡散され、突然大勢の人々が集まったんです。幸い命にかかわる事故はありませんでしたが、救急車が出動して、病院に搬送された人もいました。渋谷の街ではこのようなことがいつまた起きてもおかしくありません。特にハロウィーンは人々がお酒を飲むから規制するのがもっと難しくなります」 -日本の若者たちや店の人々の間に不満はない? 「地域住民と商人の安全と生活を最優先に考慮すべきだと思います。街での無秩序な行動は許されません。訪問者が楽しむ空間も重要ですが、規則やマナーを守ることが前提となっていなければなりません。いくらハロウィーンだとはいえ、結局(渋谷は)夜明けまで酒を飲むパーティー会場になってしまっていました。多少威圧的に受け取られても、警備を強化しないと危険です。安全の方がはるかに重要です」 -外国人観光客もハロウィーン前後に多数訪れるのでは? 「ハロウィーンの時は70-80%が外国人だという印象があるほどです。『渋谷は路上で騒いでお酒を飲んでもいい場所』だと誤解しているのでしょうか。渋谷はそんな場所ではないということを伝えようとしています。韓国人観光客の皆さんにもこのような点をお願いしたいです」 -渋谷区が路上飲酒を全面禁止する条例まで施行して以降の効果は? 「条例は10月1日に施行されました。その後、路上での飲酒が3分の1程度に減りました。以前は1日平均721件、路上飲酒者の発見がありましたが、条例施行後は217件に減りました。午後6時から翌日午前5時まで、渋谷駅周辺を10人でパトロールしています。週末には18人で巡回しています。外国人が路上で酒を飲んでいたら、そこへ行って飲酒しないように要請することもあります」 -惨事が起こった梨泰院に伝えたい言葉は? 「梨泰院を愛する人が多いので、うまく乗り越えていけると思います。痛みを乗り越えて活気を取り戻せるよう祈っています。どうかまた元気になってほしいです」 成好哲(ソン・ホチョル)東京支局長