赤く染まった仙台の広瀬川、「亜炭」の廃坑が原因か…堆積した鉄さびが流出
仙台市中心部を流れる広瀬川が先月30日、突然赤く濁った原因は、石炭の一種「亜炭」の廃坑から流れ出た大量の「鉄さび」との見方が強まっている。生態系への影響は確認されていないが、仙台ではかつて安価な燃料として亜炭が盛んに採掘された。広瀬川周辺には亜炭の廃坑が数多く残り、今後も流出する恐れはある。(小山太一、藤本菜央) 【写真】鉄さびが流出した可能性がある「吐口」
濁りが見つかったのは30日朝で、一時は愛宕大橋や広瀬橋付近まで広がった。市下水道南管理センターが31日に調査したところ、瑞鳳殿近くの霊屋橋(おたまやばし)から下流約400メートルにあり、廃坑につながる「吐口(はきぐち)」付近で、赤いヘドロ状の堆積(たいせき)物が見つかった。
霊屋橋付近の廃坑を調査したことがある東北大の高嶋礼詩教授(地質学)によると、亜炭の層は鉄を含む層に挟まれ、廃坑にしみ出した水には鉄分が含まれている。高嶋教授は「鉄を酸化させるバクテリアが繁殖し、赤い鉄さびが作られるのではないか」と分析する。
センターによると、廃坑から流れてくる地下水は吐口から雨水と一緒に排出される。この地下水に含まれる鉄さびが吐口の内部などに堆積。前日の29日夜から降り始めた雨の影響もあって川に流れ出た可能性があるという。
広瀬川では2010年12月と昨年6月にも赤く濁ったことがあり、愛宕大橋から上流約750メートルの長徳寺付近にある吐口から流出した鉄さびが原因だった。
市博物館によると、亜炭は明治以降、大きな木製のおけに釜と煙突を組み合わせた「鉄砲風呂」や、学校の暖房の燃料として広く使われ、市内には小規模な業者が坑道を掘っていたという。ただ、石油へのエネルギー政策の転換などに伴い、1970年頃には多くの鉱山が閉山したという。
センターは毎年、吐口の清掃を実施する方針を決めており、今年は11月を予定していた。高橋史典・管路管理係長は「堆積物が川に流れない方法を検討し、速やかに除去していきたい」としている。