「あなただけじゃないんだよ」与党は国民民主と駆け引き? 維新・立憲民主の“思惑”は?
少数与党での国会運営が続く石破政権。年収「103万円の壁」の見直しを巡る議論では国民民主党と協議が一時決裂するなど、未だ決着はついていないが、果たしてどうなるのか? そして少数与党が国民生活に及ぼす影響とは? 【映像】クリスマス礼拝に出席したキリスト教徒の石破総理 東京都立大学 准教授の佐藤信氏に聞いた。 佐藤氏は少数与党による国会運営の難しさについて「国会はもちろん本会議で過半数を取れていないため自分たちが通したい法案・予算がそもそも出てない」と前置きした上で、「過半数を割り込んでしまっているから、(法案が)本会議で通りにくいだけでなく、そもそも委員会でうまく通らない状況にある」と説明。 日本ではほとんど先例がないが、フランス・オランダ・ベルギーなどでは「それぞれの法案について政策協定を結んでいることが多い」という。
国民民主と“駆け引き”をして妥協を引き出す?
佐藤氏は、与党はこの状況下において「比較的協力的な野党を競争させるのが大事」と説明した。 「初めの頃は、一番政策が近い国民民主を抱き込もうとしたがでは立憲民主はどうか? 立憲民主は野党第一党で与党とは対立する政党だが、能登半島の被災地支援の増額では一致している。日本維新の会にも『教育無償化』を検討するとして一定の譲歩を引き出している。つまり、与党は少しずつそれぞれにすり寄ることで互いに競争させて、国民民主に対して『あなただけじゃないんだよ? 他と組んでも過半数を超えるんだよ』と“駆け引き”をして妥協を引き出す運営がうまく出来れば、安定的な政権運営が可能になる」 とはいえ、佐藤氏から見るとここまでの“駆け引き”は与党側の経験不足もあり、必ずしもうまくいっていないという。 では、少数与党による国会運営が国民にもたらすメリット・デメリットはあるのか? 佐藤氏はデメリットについて「国会は会期が決まっているため、パートナー選びの交渉をしてる内にスピード感が失われてやるべき政策が進まなくなる可能性がある」と指摘。メリットについては「野党を通して(これまで届かなかった)多くの人たちが意見を聞いてもらえる可能性が出てきたこと」を挙げた。 今後の政権運営については「国民民主党からすると『妥協した政党』と参院選で言われるわけにはいかないため、譲れないだろう。そのため、今後も参院選まではなかなか難しい運営が続くと思われる。参院選の後にどうなるか、もしくはこの状況を打開するために衆参同日選挙をやるのか。このあたりが今後は大きな焦点になってくる」と分析した。 (『ABEMAヒルズ』より)
ABEMA TIMES編集部