娘役急死から1年、なぜ今? 宝塚・宙組トップ退団で“幕引き”か…ファン怒り「なあなあ」「泥縄式」
芹香斗亜が退団会見
このまま、トカゲのしっぽ切りのように終わらせてしまうのか。宝塚歌劇団・宙組トップスターの芹香斗亜が3日に会見し、来年4月に退団することを発表した。同劇団をめぐっては、宙組娘役のAさんが、昨年9月に25歳という若さで自ら命を絶った。それから1年、突然の退団発表にファンの間では波紋が広がっている。 【写真】やけどの跡が黒く残ったAさんの顔 「わざとなが気する」とも吐露…パワハラを物語るやりとり ***
会見で、昨年の問題と退団との関係を問われた芹香は「直接関係があることではない」と答えるにとどまった。記者がAさんについて聞こうとすると、司会者が「退団と直接関係ない」ことを理由に質問をさえぎったという。結局、宙組トップから、ことの“真相”が語られることはなかった。 今後、宙組は来年1月から宝塚大劇場で公演をスタートさせるが、芹香は同4月27日の東京公演千秋楽をもって退団する。退団の時期について、芹香は会見で「就任時から心に決めていた」と語ったが、このタイミングでの発表に戸惑うファンは多いという。 宝塚に詳しいジャーナリストはこう言う。 「トップの退団発表としては、唐突感が否めません。本来であれば、前の本公演期間中に発表するのが通例です。もし、退団を事前に決めていたのであれば、6月20日から始まっていた前回の大劇場公演か、東京公演の前に発表すべきでした。そうすれば、ファンももっと悔いなく劇場に通って、トップの姿を心に刻むことができます。ファンの中には、芹香が『次の次の公演まではやる』と思っていた人も多いはずで、“不完全燃焼”と感じる人もいるでしょう」 宙組をめぐっては、宝塚側の不可解な対応がずっと問題視されてきた。 宙組娘役だったAさんが、25歳という若さで自ら命を絶ったのは昨年9月。上級生からのパワハラが原因だった。当初、宝塚ではパワハラについて否定してきたが、今年3月に会見を開き、Aさんの遺族に直接謝罪するとともに、合意書を結んだことを公表した。
事実上“お咎めなし”
Aさんの遺族側も会見を開き、宝塚側がパワハラの加害者と認定した10人のうち、宙組の幹部上級生2人を含む、合計6人の謝罪文を遺族に提出してきたことを明かしている。ただし、その後、宝塚内でどのような処分や対応が取られたかは、はっきり伝わってきていない。事実上、“お咎めなし”の状態が続いている。 昨年12月には当時の劇団トップだった木場健之理事長が退任し、今年2月には、歌劇団の親会社阪急阪神ホールディングスの角和夫会長が、歌劇団と養成機関「宝塚音楽学校」の両理事を退任したものの、それ以外に明確な形で責任を取った者もいない。 「宝塚の各組にはプロデューサーがいて、“マネージャー”的な役割を果たしています。宙組では、Aさんの一件があった当時のプロデューサーの名前が今もなお、パンフレットなどに記載されています。本来ならこうした人物も交代させて、体制を刷新すべきです。ただ、そうした“改革”もなく、今年6月に公演を再開させた。ファンの中には『なぜ、組織の上が責任を取らないのか』と思っている人も多く、『なあなあ』『泥縄式』の対応と見られても仕方ありません」(前出のジャーナリスト) ファンの間では、ある懸念も生まれているという。今年4月に新たに入団してきた第110期生の“配属先”だ。 「彼女たちは今後、花組、月組、雪組、星組、宙組の五つの組に振り分けられる予定です。しかし、今の宙組に入りたいと思う人はどれだけいるでしょうか。劇団が『改革する』と公言してきた通りの、きちんとしたフォロー体制を組まなければ、家族も心配で仕方がないでしょう。このことも、芹香の進退に影響しているように見えます」(同) なし崩し的に公演が再開され、トップも退団……。このままで、ファンからの信頼を取り戻せるのだろうか。 デイリー新潮編集部
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