立ち上がった働く母親たち、生徒の強制転居を防げ-NY市の移民危機
(ブルームバーグ): 大手米銀シティグループで社員20万人の働き方革新に携わっていたエリカ・ディピエロさん。FOXニュースでエンターテインメント報道のプロデューサーを務めたジーナ・チリトさん。いずれもニューヨーク市マンハッタン地区に住む働く母親だ。
2人は2年前から、ニューヨークに定住しようとする移民の家族を支援してきた。法律相談や衣類、洗濯、子どものサマースクールや放課後プログラムを得られるよう時間を費やしている。
ニューヨークには2022年から18万人を超える移民が流入。その対応を助けようと立ち上がった数々の非営利団体やボランティアが巨大なサポートシステムを構築しており、ディピエロさんとチリトさんもその一部だ。当初は混沌(こんとん)の中で移民の家族を迎えていた市は、サービスの制限や規制変更で態度を変えており、こうしたサポートシステムもそのたびに重点を移してきた。
移民危機はニューヨークを「破壊する」と警告するアダムズ市長は、移民対応の支出が2025年上期末までの3年間で106億ドル(約1兆5800億円)程度に達すると述べている。市長はシェルターに宿泊する要件変更を主張し、滞在期間の短縮に動いた。これによって移民の子どもたちは通学が困難になり、チリトさんやディピエロさんらの団体「マニャナ・オトロ・ディア(また明日)」による努力を台無しにしている。
市のやり方は傷口に塩をすり込むようだと、チリトさんは語る。「繁栄に貢献する新たな住民となり得るのに、完全な混沌に陥った」と述べた。
チリトさんとディピエロさんは自分たちの子どもが通う校区、アッパーウェストサイドを中心に活動している。活動を始めたのは、テキサス州のアボット知事が移民をバスに乗せてニューヨークに送りつけ、市の移民危機が深刻化した2022年からだ。市には現在、約1万9000世帯の移民がホテルやテント、その他シェルターに滞在しており、そのうち数百世帯がマンハッタンのウェストサイドにいる。