2025年度大学入試はこうなる 少子化で進む「理系」シフト トレンドはデジタルと女子
このような状況の中、多くの大学は現状の定員規模の確保を目指してさまざまな改革を進める。74㌻の「2025年度入試 主な大学の学部学科改組・入試変更点」をみると、そのトレンドの一つは、人材が払底している、デジタル分野の人材養成を目指す情報系学部・学科の新設といえそうだ。 改革の背景には、補助金をつけて成長分野であるDX人材やGX人材養成のための学部・学科の整備を促す、文科省による「大学・高専機能強化支援事業」がある。25年度には、秋田大・情報データ科学部や山形大・社会共創デジタル学環、神戸大・システム情報学部、帝京大・理工学部のデータサイエンス学科、関西大・ビジネスデータサイエンス学部、松山大・情報学部などが新設予定だ。 情報系学部の整備が進む中で注目したいのは、情報デザイン、メディア情報、情報理工の情報系3学部を新設する金沢工業大。ハードウエアやセキュリティーについて学ぶ理系志向の情報理工学部と情報の活用について学ぶ文理探究型の2学部の連携による3学部体制で、情報に関する包括的な教育・研究体制を構築する。 その他にも、岩手大が獣医学部を新設し理工学部と農学部を再編、秋田大は理工学部を総合環境理工学部に改組。私立大では、愛知淑徳大が建築学部を新設し、追手門学院大は数理・データサイエンス学科を有する理工学部を設置する。 ◇難関大で女子枠拡大 女子大の改革も進む 理系学部の女子枠の拡大も理系シフトの一環といえよう。名古屋大は新たに工学部の化学生命工と機械・航空宇宙工の2学科、神戸大は新設のシステム情報学部で学校推薦型選抜の女子枠を導入するとしている。24年度に物質理工など4学院で総合型や学校推薦型選抜の女子枠を導入した東京工業大は、実施学院を理学院と工学院にも拡大。26年度には京大や大阪大も理系の一部学部で女子枠を導入するとしている。 文・人文系や家政系などを目指す女子が減少し、社会科学系や理工系の人気が上がるなど、女子の志望動向の変化に伴い志願者数の減少が進む女子大も改革が急だ。大妻女子大がデータサイエンス学部を新設し、東京女子大は、現代教養学部を国際社会や経済経営、情報数理科などの6学科体制に改組する。両大学ともに情報系や社会科学系の充実を進める。