激安通販サイト「Temu」すら頭打ちに…「何を作っても売れなくなっている」習近平体制崩壊のカウントダウン
■軌道修正しなければ、長期の停滞は避けられない 一方、中国経済の最大の問題である、需要不足の解消に関する直接的な方策は見当たらない。大型のバブルが崩壊すると、債務問題を抱える企業・金融機関に公的資金を迅速に注入する必要性は高まる。それによって、不良債権の処理を進め金融システム不安を食い止める。その上で、規制緩和などを実行して、成長期待の高い分野へのヒト、モノ、カネの再配分促進と景気の持続的な回復が不可欠だ。 今後、景況感が一段と悪化すると、中国政府は企業の投資増加に加え、マンション在庫の買い入れ枠の拡大、高速鉄道などのインフラ投資も積み増す可能性が高い。中国政府が供給能力の向上に取り組んだ結果、生産能力の過剰感は一段と進み値下げ競争は激化するだろう。デフレ環境は深刻化し、大手国有企業の粗利率低下リスクは高まると予想される。 その結果、業績の悪化懸念は高まり、デフォルトリスクが上昇する企業は増加する可能性は高い。チェンミン・グループのデフォルトの発表は、不動産バブル崩壊をきっかけに、国有・国営企業の業況が悪化し始めていることを示している。需要不足が深刻な中で政府が国有・国営企業を重視した政策を修正しない場合、中国経済の長期停滞懸念はさらに高まることが予想される。 ---------- 真壁 昭夫(まかべ・あきお) 多摩大学特別招聘教授 1953年神奈川県生まれ。一橋大学商学部卒業後、第一勧業銀行(現みずほ銀行)入行。ロンドン大学経営学部大学院卒業後、メリル・リンチ社ニューヨーク本社出向。みずほ総研主席研究員、信州大学経済学部教授、法政大学院教授などを経て、2022年から現職。 ----------
多摩大学特別招聘教授 真壁 昭夫