平日は大使館商務部、週末は各地に”パフェ遠征”「日本で年500本のパフェを食べる」北欧から来た彼女の情熱
パフェのもつ「物語性」も魅力、と考えるラウラさん。パフェは縦長のグラスに入っていることが多い。何の食材をどんな順に入れるかで、食べるときに感じる“物語”が変わってくる、という。 「たとえば秋の食材を下に、夏の食材を上に入れると、食べる人に季節の移り変わりを伝えられます。だから、私はパフェを人とシェアしたくないんです。映画の一場面だけ見ていないことになってしまうから」 ■パフェはイベント性や季節感をもたせやすい
パフェの情報収集はインスタグラム、グーグルマップ、グーグルアラート。パフェ仲間や作り手からの情報収集も欠かせない。毎日のようにパフェを食べ、写真は日本語と英語の文章を添えてインスタグラムにアップ。全国各地に“遠征”もする。取材依頼やパフェの監修依頼も増えてきた。 「パフェは作り手が目の前で作ってくれる“一点物”」とラウラさん。先に紹介した大晦日のパフェのように、パフェは食材や造形によってイベント性や季節感をもたせやすく、限定商品が多い。
だから1日に複数本食べることもあるそうだ。 そんなラウラさんとパフェとの出合いは2010年のこと。当時ヘルシンキ大学在学中で、早稲田大学政治経済学部に交換留学生として来日していた。 お金がなく毎日同じような食事をしていたため、アルバイト先の先輩が「日本らしい、おいしいものを食べさせたい」と連れていってくれたのが、東京・日本橋の千疋屋総本店だった。 「パフェを見て『アイスってデザインできるのね!』と感動しました。もともと建築家になりたかったくらい、美しい建物やデザインが好き。千疋屋のパフェは彩り豊かで見た目が素晴らしく、どのフルーツも主役級の味なのに、それぞれが引き立て合い、バランスがとれている。味も見た目も素晴らしいと思いました」
■北大の院に進学、週に何本もパフェを食べるように その後、ラウラさんはヘルシンキ大学を卒業して、北海道大学大学院法学研究科に進学。日本語で修士論文を執筆する日々を送るうち、気分転換のために週に何本もパフェを食べるようになった。 「ちょうど、お酒を飲んだ後の締めに食べる『シメパフェ』が普及して『札幌パフェ推進委員会』ができたころ。リーズナブルな価格帯の魅力的なパフェが増えたんです」 大学院修了後は楽天に就職し、仕事帰りにパフェを食べるように。芸術性の高いパフェを提供する『パティスリィ・アサコ・イワヤナギ』(東京・等々力)、『アトリエコータ』(東京・神楽坂)でますますパフェにほれ込んだ。パフェ評論家・斧屋氏主宰のコミュニティ「パフェ大学」で、パフェ好きの人たちともつながった。