トランプ再び(3)日本はどう向き合うべきか
トランプ氏への説教は無用
トランプ1期目ではイギリス、ドイツ、カナダが全部それで失敗した。メイ首相、メルケル首相、トルドー首相がそれぞれ公の場で「トランプさん、民主主義というのはそうじゃないよ」と説教した。それで「何を生意気なことを言うか。俺はアメリカ大統領だぞ」ってけんかになるわけです。 安倍さんを含めて日本の首相は誰もそんなことをしていない。そんなことをしてうまく行くはずがないと分かっているからです。トランプ氏を選んだアメリカとどう付き合っていくかという話であって、いや困ったと嘆いても仕方がない。 日本にとって有り難いのは、駐日大使を務めたハガティー上院議員が今の共和党で重きを成していることです。彼は駐日大使の前にトランプ陣営の人事担当だった。今は日本の友人です。トランプ1期目にはああいう人がいなかった。ここは大きな違いです。石破政権はハガティー氏を大事にして、そこから人脈を広げて行ったらいいと思います。 聞き手:ニッポンドットコム 古賀攻
【Profile】
藤崎 一郎 元駐米大使、日米協会会長。1947年神奈川県生まれ。69年外務省入省。北米局長、外務審議官、駐ジュネーブ大使を経て2008年から12年まで駐米大使を務めた。上智大学教授、中曽根平和研究所理事長などを歴任。著書に『まだ間に合う 元駐米大使の置き土産』 (2022年、講談社現代新書)=写真・時事