AI用いた訪日外国人向け観光案内実験実施へ 近鉄奈良駅で
訪日外国人向け観光案内サービスの商用化に向け
近鉄とNTT西日本、NTTの3社は27日、複数のAIを組み合わせた新たな訪日外国人向け観光案内サービスの商用化に向け、同日から近鉄奈良駅(奈良県奈良市)で実証実験を行うと発表した。近鉄などは「3社の強みを生かして実証実験を行い、得られた技術を新たな観光案内の実現につなげたい」としている。 【拡大写真】近鉄・京都~吉野直通運転可能なフリーゲージトレインの開発検討
3社の強みを生かして実証実験
近鉄など3社によると、近鉄は奈良や伊勢志摩エリアといった観光地で営業を行っており、急増する外国人観光客ら多くの利用客に対し、言語に依存せず、直感的な操作や視覚的な案内を意識したスマートフォン(スマホ)向けアプリ提供で、経路案内や観光案内を行う「シームレス案内」に取り組んでいる。 そこで、ICTを用いた観光ソリューションのノウハウを持ち、地域活性化に取り組んできたNTT西日本と、AI、IoTなどの研究開発を進めるNTTという、3社の強みを生かして実証実験を行う。
実験での各社の役割とは
実証実験は、東大寺や春日大社などに近く、多くの外国人観光客が訪れる近鉄奈良駅にNTT西日本がWi-Fi環境を構築。NTTが案内看板や建物、商品などにスマホをかざし、観光案内に設定された言語で表示する「かざして案内」と、機械が人間の代わりにコミュニケーションを行う対話AI機能「チャットボット」を組み合わせた「マルチモーダル・エージェントAI」を英語、中国語で提供する。 これらを通じて利用頻度やコンテンツ満足度、ネットワークを含むICT環境の快適度などを分析し、商用化への検討を行うという。 これにより、近鉄はスマートフォンを使う案内サービスへの外国人観光客のニーズ、有効性の把握。NTT西日本は、利用シーンに応じた観光案内ソリューションの妥当性の把握。NTTはマルチモーダル・エージェントAIの開発と提供、ログ収集分析、機能改善につなげたいとしている。
近鉄「満足度の高い観光動線の提案につなげたい」
期間は今月27日から8月10日の午前9時から午後3時までの予定(27日のみ午後2時から同5時の予定)で、近鉄奈良駅の東改札外コンコースで行われる。 近鉄は、この実験で得られた技術をシームレス案内のプラットフォーム基盤として活用。言語に依存しない直感的な観光案内や駅係員や観光案内コンシェルジュの業務支援、収集データ分析による「満足度の高い観光動線の提案につなげ、新たな観光案内の実現を目指す」としている。