<津田寛治>「さよならマエストロ」“妻”LiLiCo&“娘”おじゃすの印象は 7話の見どころは西田敏行の演奏シーン
音楽大学の指揮科の教員の方が振って下さっているお手本動画を見たときに、めちゃくちゃ感動したんですよ。ゴツゴツしているけどアパッシオナートがあって、指揮に対する情熱が近藤の情熱そのものだなと。一見とっ散らかっているようだけど、「あおぞらホールも最後だし、もう晴見フィルも終わりなんだ」という近藤の思いがそこにありましたし、台本を熟読して振ってくださっているんだなというのが分かりました。
完全コピーするくらいの気持ちでいたんですが、いざ始めたらそんなのおこがましいくらい難しくて。なので先生に何回かレッスンを受けさせていただいて作っていきました。
--7話以降、この近藤のダイナミックな指揮がSNSで話題を呼び、晴見フィルをいい方向に導いていくような描写もあります。
そうなんですよ、だから結構プレッシャーで(笑い)。「血管が切れそうになった!」みたいに指揮について振り返るシーンを、実際には指揮を振る前に撮影していたりもしたので、本番でその通りにやらなきゃいけないとも思いましたし、とにかくプレッシャーがすごかったです。
--終盤の見どころも教えてください。
7話は“うたカフェ二朗”のマスター・小村(西田敏行さん)にスポットが当たる回で、西田さんが初めて楽器を演奏するシーンもあるんですが、そこでのお芝居が見どころだと思います。個人的には、8話の西田さんと近藤がサシ飲みするシーンが本当に幸せで、夢みたいな時間でした。
西田さんって歌もお上手で音楽家と似たスピリットをお持ちで、「ピリピリせずにとにかく現場をみんなで楽しくしよう!」という方なんです。そんな空気の中でセリフもどんどん変わっていったり、劇的なことが起こったりもして。だから物語の全体においても、西田さんのお芝居は大きな見どころだと思います。
さらに9話は台本を号泣しながら読んだ記憶があります。僕、このドラマには悪い人が出てこない分、我が子を無意識に傷つけてしまうという点で、「実はマエストロ(西島さん)って一番悪い人なのでは?」と思っていて。そのことを志帆(石田ゆり子さん)は分かっていて、子どものことをちゃんと考えたんだなと思うんです。だからそういう中で娘の響が9話で放つ言葉というのに、僕は涙が出ましたね。
あとは演奏シーンもどんどん佳境に入っていて、最終回はとんでもなく大変な演奏が待っているので楽しみにしていてほしいです。僕も頑張ります!