関東学生ゴルフ連盟（公式HPより）

　関東学生ゴルフ連盟（関東学連）の新会長を決める総会は、なかなか開かれずに時間だけが過ぎていた。 　その間、学生ゴルフの全国組織の日本学生ゴルフ連盟（日本学連）には、“暫定政権”が続く関東学連への対応を求める声が各所から寄せられ、6月には是正を求める文書を関東学連に出した。 　しかし、いっこうに事態が動かなかったため、最後通告のような形でスポーツ庁のガバナンスコードにのっとった理事選任方法を採用するように通達した（総会は理事会の決定にもとづき会長が参加者を招集して開催される）。それが実行されない場合は、日本学生や日本女子学生などへの関東学連の出場枠を大幅に削減する方針を打ち出した。 　日本学連の学生側の責任者である学生委員長は、その理由について次のように説明する。 　「我々は組織の法人化を目指しています。そのためには6地区（の連盟）が足並みをそろえる必要があります。でも関東は仮の（会長と理事の）状態。（今の暫定政権は）正式とは認められていない。その仮の状態のまま、法人化にOKを出されても、後から正式に認められた別の理事に“これは仮の理事が出したOKじゃないか”と言われたら、我々は反論できません。今のように問題が起きて、もめている関東の状況は、法人化に向けての学生の動きに二の足を踏ませています」 　日本学連が法人化に動く狙いは（1）透明性のある組織運営（2）協賛金や寄付金を集めやすくすることによる学生ゴルファーの支援が目的だ。しかしながら中核団体の関東学連が現状のままでは、法人化に向けた作業の足を引っ張ると憂慮している。 　また同委員長は関東学連の組織運営についての課題も挙げた。 　「関東は会長と会長が指名した副会長による合議で理事を決める方式なので、現場と関係がなくてもOBであれば選ばれます」 　それにより現場と接触する機会の少ない理事が増えると、理事会と監督や選手との感覚に乖離（かいり）が生じやすくなると指摘する。 　さらに、学生が籍を置く大学と責任関係のないOBが理事に就任した場合、大学のコントロールが利かなくなり、その理事の言動に大学が責任を負えない状況になることも考慮すべきと主張する。 　「何か問題が起きた場合に最終的に大学が責任を取れるようなガバナンスにすることが、日本学生ゴルフ連盟としては大切であると捉えています」 　これに対し、関東学連の“暫定政権”の考えを聞こうとしたが、窓口の事務局が取材は受けないとの対応だった。しかし関東学連の常務理事会は、日本学連から通知文を受け取った後に、加盟大学の主将・主務に自分たちの見解を綴った文書を送っている。 　それによると新会長を決める総会を開けなかった理由については「一部の方が一方的な個人的考え方を基に本連盟の運営を妨害しており、その結果規約に基づく方法で新たな執行部を設立できない状態が続いている」と説明。日本学連の法人化の遅れについても「一部の方の妨害によるもの」と主張。また、日本学連が問題視する関東学連の理事選任方法に関しては「学生ゴルフ連盟の理事及び会長の選考方法は、日本学生連盟を含め全地区同様であり、本連盟規約に定められている方法だけを問題視する根拠はありません」と反論している。なお“妨害”の具体的な内容についてはそこには記述がなかった。 　一方で日本学連が関東学連に理事選任法の改革を求める姿勢は今も変わらない。通達書に記した10月14日の期限は過ぎたが、学生委員長は12月7日に開かれる同連盟の常任委員会、総会までに関東学連が要求通りの対応を取れば、通達書の内容を撤回するとしている。 　その期限が迫るぎりぎりのタイミングで総会を開催することを決めた関東学連。ただ、気になるのは同委員長が口にした次の見解だ。 　総会で現在の会長代行が新会長として信任された場合の対応を尋ねると「総会決議に至る過程の精査をした上で、それが民主的に行われたものなのかどうなのか。日本ゴルフ協会のかたと協議の上で、最終決定を下すことになると思います」と述べた。 　そして仮に現在の会長代行が新会長に信任されて、理事の選任方法を変更すれば、通達内容を撤回することになるのかという質問には「その選任方法が正しかったのかを踏まえて、日本学生連盟として再検討したいと思います」と続けた。 　今後の学生ゴルフ界の行方を左右しそうな関東学連の総会はあす1日に行われる。その結果に関係者の注目が集まりそうだ。