米名門大学でデモ拡大、コロンビア大とエール大の厳しい対応で拍車
(ブルームバーグ): 米名門校コロンビア大学の学生たちにとって、それは究極の裏切りだった。学生たちはパレスチナ自治区ガザへの攻撃を続けるイスラエルに対するキャンパス内での正当な抗議活動だと考えていたが、大学側は警察を呼んで彼らを逮捕させたのだ。
コロンビア大首脳による先週の衝撃的行動の狙いは、イスラエル政府に利益をもたらす全ての投資からの撤退を大学側に求める親パレスチナ派デモ隊を排除することだった。しかし、今回の取り締まりはキャンパスの一部を占拠し続けている学生らをさらにたきつけ、エール大学やマサチューセッツ工科大学(MIT)など、他の一流大学での同様の抗議活動を誘発している。
昨年10月7日のイスラム組織ハマスによるイスラエル奇襲攻撃と、その後報復に動いたイスラエルによるガザ空爆以降、米国各地のキャンパスで動揺が続いており、今回のデモは新たな火種となった。デモの中には、反ユダヤ主義的で威圧的なスローガンを唱えたりポスターを掲げたりするものもあり、ユダヤ系学生の間で恐怖感や孤立感が強まっている。
今回の抗議デモは、ユダヤ教の祝祭である「過ぎ越しの祭り」が始まる日没の数時間前に行われ、ホワイトハウスや、資産家ロバート・クラフト氏などの大学寄付者から非難の声が上がった。また、大学側が学生に対し強硬手段を取ることへの懸念も高まっている。
ニューヨーク州のホークル知事は22日に、コロンビア大学の首脳や警察、学生グループと面会し、キャンパスの安全と表現の自由とのバランスについて議論した。
コロンビア大学では、先週の逮捕劇の後もキャンパスでの抗議活動が衰えることなく続いていることから、授業をオンラインに移行。他の大学はデモ参加者への対応を厳格化した。エール大学では22日、警察が47人の学生を含む60人を逮捕した。ピーター・サロベイ学長は「デモ会場やその付近で、個人に対し害を与える行為や脅迫的な発言があったことが警察の報告書で確認された」と述べた。