広島サミットメニューを「神の雫」原作者が徹底分析 お好み焼き×赤ワインのマリアージュとは?
―――赤ワイン「小公子 マスカット・ベーリーA」を「神の雫」の主人公、神咲雫ならどう表現しますか? 樹林さん: (神咲雫)夏の始まり。久しぶりに訪れた故郷。広々とした畑の畦道を歩きながら、笑い声を上げて走っていく幼い子供たちとすれ違う。ふと、畑で赤く色付いたトマトを一つ穫り、がりりと食べると、懐かしい日の想い出が甦る。この広島三次ワイナリーのTOMOÉ「小公子 マスカット・ベーリーA」は、そんな風景が心に浮かぶワインだ。 ◇ 外務省の原氏によると、実はこの赤ワインには、ある「おもてなし」の思いが込められているといいます。このワインに使われたブドウ「マスカット・ベーリーA」は、欧州生まれのマスカット・ハンブルク種と米国生まれのベーリー種を、「日本ワインの父」川上善兵衛氏が交配させて1927年に開発した日本の固有種です。さらにワイナリーがある三次市は岸田裕子夫人の出身地。つまり、G7参加国のブドウを日本で交配させたものを使って、裕子夫人の出身地で造られたワインなのです。 ――今回の3日間のサミットで提供されたワインは全て「日本ワイン」。日本で造られるワインの8割は海外から輸入された原料で造られており、国産ぶどう100%の「日本ワイン」はまだまだ少数派です。日本ワインの良さとは? 樹林さん: 香りの良さと、うま味だと思っています。赤、白とも柔らかいワインが多く、和食との相性はさすがに良いですね。
■日本産「アイスワイン」の可能性
デザート用に出された甘口の「山幸アイスワイン 2021」は、樹上凍結したブドウを収穫し圧搾された果汁から造られ、芳醇な香りと濃厚な甘さを持つワインです。このワインに、樹林さんはある「可能性」を感じると言います。 樹林さん: 北海道は寒いので、アイスワインの産地としては面白い。ドイツが温暖化でアイスワインが出来にくくなっていて、今はカナダがその産地として注目されてます。でも、北海道ならアリでしょう。スキーリゾートとしても、今や世界的な存在です。これをきっかけに、日本アイスワインが世界的な存在になってくれる可能性がありますね。 ◇ サミット期間中には、各国のメディアが集まる国際メディアセンターでも、焼きたてのお好み焼きや日本ワインなどがふるまわれました。その人気はかなりのものだったといいます。サミットをきっかけに、日本の食と酒のマリアージュも世界に広がっていくかもしれません。