PCR検査でトリュフ菌の量を測定 黒トリュフの人工栽培へ一歩前進
山梨県森林総合研究所は、黒トリュフの人工栽培に向け、PCR検査でトリュフ菌の量を把握できることを突き止めた。菌を付着させた木周辺の土壌を調べて把握する。高密度で菌が存在するケースもあり、トリュフが発生しやすい条件の特定などにつなげたい考えだ。 同県内では黒トリュフの自生が確認され、2018年に北杜市、20年に小菅村で人工栽培の研究を始めた。研究では、トリュフ菌に感染した栗の苗を育てているが、黒トリュフの発生には依然、至ってない。 トリュフ菌は、定期的に土壌を観察することが重要で、根に付着した菌根を目視や顕微鏡で判断する。複数の菌からトリュフ菌を探すには熟練の技術が必要になる。今回は、この技術をPCRで簡素化した。 同研究所は「人工栽培には、初期のトリュフ菌の定着が大切」(環境科の林耕太研究員)とする。研究では植栽した苗の土壌を採取し、検査キットでトリュフ菌の量を測定。21~23年度に2カ月ごとに植栽した株を調べた結果、①菌の量が最初から高密度の株②菌の量が途中から高密度になった株③菌の量が少ないままの株――の3パターンを確認した。 国内では黒トリュフの人工栽培を岐阜県森林研究所と森林総合研究所が23年12月に初めて成功させたが、栽培技術の確立には至っていない。栽培技術が確立された欧州では、収穫までに4~12年程度かかるという。
日本農業新聞