来春センバツ、98年ぶり「大阪勢ゼロ」の危機 過去には「センター返し選考」で逆転出場
昭和になって初めて開催された第4回大会は大正天皇の崩御で、国民が喪に服するということで出場校は前回の半数のわずか8校。近畿からは関西学院中(兵庫)、和歌山中(現桐蔭高)が出場し、和歌山中が優勝した。大阪が出なかったのは、選抜高校野球の100年の歴史の中でこの大会だけとなっている。
ただ「大阪勢ゼロ」の危機は過去にもあった。中でも高校野球ファンの記憶に残っているのが2003年の第75回大会の選考だ。当時も近畿の出場枠は6。前年秋の近畿大会に大阪から近大付、東海大仰星(現東海大大阪仰星)、大産大付が出場したが、初戦で全滅した。選抜出場校は優勝した平安(京都=現龍谷大平安)、準優勝の智弁和歌山、ベスト4の東洋大姫路、斑鳩(奈良)はすんなり決まり、続いてベスト8の近江が高い攻撃力が評価されて選ばれた。そして最後の1枠には8強組の南部(和歌山)、育英(兵庫)などを押しのけ、初戦敗退の近大付が選ばれた。
その理由が「1回戦負けでも力がある」「センター返しのできる粘り強い打線を持つ」だった。一方で南部については九回に4失点して逆転負けした準々決勝を挙げて「もろさがある」とされた上、同県の智弁和歌山が選ばれていたことで「1県2校になるには説得力がない。地域性を考慮して近大付」となったのだ。これはファンの間では「センター返し選考」といわれ、大阪は絶対に選ばれる「大阪枠」があるのではとささやかれた。
■「神宮大会枠」の行方は
1976年秋の近畿大会でも大鉄(現阪南大高)、浪商(現大体大浪商)はいずれも初戦で敗れたが、大鉄は選抜に出場した。今回、大院大高は近畿1勝を挙げており、過去に比べれば、大阪勢ゼロの「危険度」は低いとみられる。
近畿王者の東洋大姫路は20日に開幕する明治神宮大会に出場する。ここで優勝すれば、選抜の神宮大会枠1が近畿に与えられ、一般枠と合わせて7校出場となる。この場合、大院大高と滋賀短大付の両校が選ばれそうだ。