<HERO>木村拓哉“久利生”の熱さが響く「恋愛なんて馬鹿になっちゃっていいんじゃない?」
FODでは人気のフジテレビドラマを毎月5作品分、FOD・TVerにて毎日無料公開する「#ドラ活 浸れ、超自分的ドラマ生活。」を開催中。対象作品のひとつ、木村拓哉主演のドラマ「HERO」第1話(8月6日火まで無料公開中)は、2001年に放送された23年もの前の作品でありながら、今見ても物語やキャラクターたちが持つ勢いは色あせない。 【写真】2014年「HERO」第2シリーズで再登場した美鈴(大塚寧々) 宇多田ヒカルの「Can You Keep A Secret?」が流れ、木村拓哉、松たか子らが横一列に並ぶ映像を見れば、ドラマに夢中だったあの頃を思い出す人も多いだろう。今記事では、「HERO」第3、4話を紹介する。 (以下、ネタバレが含まれます) ■雨宮が大好きなK1に例えて久利生に発破をかける 「HERO」はいわゆる“お仕事ドラマ”の群像劇。元不良で中卒、大検を受け、司法試験に合格し検事になった久利生公平(木村)が青森から東京地検の城西支部の刑事部に赴任して、事務官の雨宮(松たか子)ら城西支部の面々と毎度巻き起こる事件に向き合う。 第3話は、別れ話を持ち出した女性に、男性がステーキナイフで切りつけるトラブルに久利生が巻き込まれる。翌日、久利生の前に現れた被疑者・宮川(宮迫博之)は気落ちしていた。久利生の取り調べに、紗江子(森口瑤子)と結婚を考えていたことを切々と訴える。 料理研究家の紗江子は、過去にも結婚詐欺で複数の男性から訴えられた過去があった。どの男も宮川同様、手料理や「生まれ変わっても一緒になろうね」の言葉に心をつかまれており、大金を渡していた。ピンとくる久利生だが、結婚詐欺の立件は難しい。「リングに上がる前に逃げるK1選手のよう」と雨宮に言われてしまった久利生は捜査を進める。 久利生と雨宮のコンビネーションは、第3話にしてほぼほぼ固まっている。2人には恋愛感情こそないものの、会話のテンポは信頼し合った男女のそれであるし、時々挟み込まれる久利生から雨宮への「恋愛経験ないの?」という見下したような会話のジャブから、雨宮の真面目でお堅いキャラクターが際立つ。 雨宮が同じ支部内の江上(勝村政信)から好意を寄せられながらも邪険にあしらうのを見て久利生は「恋愛なんてワケわかんなくなっていいんじゃないの? 馬鹿になっちゃって。だからいいんでしょ」と、法律でも人の恋愛感情までは決めつけられないことを熱く語った。六法全書に載っていることがすべて、といったような主人公も人気を得やすいが、「HERO」の久利生はその真逆をいく男である。 ■久利生は見ている方の平熱を“少し”上げてくる 第4話でも久利生の熱意によって、城西支部のチームワークはより強いものになった。ストーカー殺人の容疑者が入院先の病院から逃げ出した。江上と雨宮が取り調べ中の容疑者だったが、怪我の様子や凶器も発見されていなかったことから、江上の判断で逮捕を見送ったのだった。捜査中の刑事たちはカンカン。他の検事たちは逃げた男が本当に犯人なのか、他に犯人が居るとしたらどうやって現場から逃げたのか、捜査に乗り出す。 検事たちの直接捜査というのが視聴者の目に新鮮に映るシーン。雨宮と美鈴(大塚寧々)が「私たち刑事ドラマみたいじゃない?」とちょっとワクワクするような場面があったり、別の事務所からヘッドハンティングの話が来ていた芝山(阿部寛)が、真犯人を見つけて猛ダッシュする姿だったり、支部の仲間たちが刻一刻と事件解決に向けて心をひとつにしていく様子が小気味よい。 美鈴は「あの青森のお兄ちゃんが来てから少し平熱上がったの」という表現をしていたが、久利生は別段、仲間のために一生懸命働いているわけではないが、見ている者をほんの少し熱くさせるパワーがある。それは劇中の仲間もそうであるし、視聴者にも十分伝わる熱意だったため、放送当時、平均視聴率34.3%という驚異的人気作になったというのも、うなずける。