今日の1杯目のビールのために命を懸ける。松岡昌宏が語る目標をもたない生き方
俳優人生の最後に演じたいのは……?
――いろんなお仕事をされる中で、今、俳優業の面白さはどんなところに感じていますか? 松岡 嘘が好きなんだろうね。俳優の仕事って嘘つきじゃない? 人間が普段、本音と建前を抱えて生きているとしたら、俳優は“セリフ”を介して大っぴらに嘘をついたり、悲しくないのに泣いたりするでしょ? そういうのがたまんない。それが好きなんだろうね。小さい頃から“ごっこ”が好きだったしね。 ――作品や役への向き合い方は年齢を重ねていく中で変わったと感じますか? 松岡 たぶん、変わってると思います。自分ではなかなか分からないけど。ただ“役作り”がどうだとか、そういうのは「うるせーよ」って思うんですよね(笑)。そんなのやらなくても、できるやつはできるし、やってもできないやつはできないんだから、手段はどうでもよくて結果が面白いかどうかだけなんだよね。 誰がどんだけ苦労してやっても、面白くなければそこまでだし、何も考えずにやってみて面白いこともあるんだよね、この世界。俺は、努力とか苦労は大嫌いだからしないんだよね。この作品を成功させるために、いろんな手段は使ったけど。 ――年齢と共に、オファーされる役も変わってきているかと思います。 松岡 それこそ、この佐良はまさにそうだよね。「俺にこういう役がくるのか」って。俺には絶対に来ないタイプの役だと思ってたから。俺自身の(世間がイメージする)キャラクターもあるし、普通に考えて、ないでしょ? カレーライスにあんこ入れるようなもんだもん(笑)。 でも、それをおいしいと感じる人にはたまんないのかもね。俺自身、新しい発想で何かするのは大好きだし、他人と同じことするのは大嫌いな人間だから、よく分かるし、この作品に俺を呼んでくれた人は面白い人なんだろうって思います。 ――目標は「ない」とおっしゃっていましたが、俳優として今後、演じてみたい役はありますか? 松岡 俳優人生の最後に吉良上野介をやりたいですね。自分は時代劇デビュー(『大忠臣蔵』1994年放送)が大石主税(※大石内蔵助の息子)だったんです。内蔵助をやりたいとは思わないけど、最後は吉良上野介をやって、殺されて終わりたいですね。 ――年齢を重ねるのは楽しいですか? 松岡 楽しいよ。全部、斬り捨てていく楽しさかな。若い頃はやらなきゃいけないことがたくさんあったけど、それをしなくてよくなって、どんどん引き算をして、身軽になる感じですね。 取材・文:黒豆直樹 撮影:川野結李歌 ヘアメイク:赤塚修二 スタイリスト:井元文子(Creative GUILD) ■WOWOW『連続ドラマW 密告はうたう2 警視庁監察ファイル』 8月11日(日・祝)スタート 毎週日曜午後10時 放送・配信【第1話無料放送】 【WOWOWプライム】【WOWOW 4K】【WOWOWオンデマンド】 TVer/FODで最新話無料見逃し配信