中学受験は家族のチーム戦!パパ・祖父母・きょうだいの役割は?
受験を間近に控えてナーバスになっている子どもに対して、家族はどのようにケアしていくのが良いのでしょうか? 【データ】成績上位5%の親に聞いた「子どもの学習場所」 中学受験の第一線で30年以上指導してきたプロ講師・渋田 隆之さんに、両親や兄弟、祖父母それぞれの立場でのベストなかかわり方について聞きました。 ※本稿は渋田 隆之著『2万人の受験生親子を合格に導いたプロ講師の 後悔しない中学受験100』(かんき出版)から一部抜粋・編集したものです
家族を笑顔にするのがお父さんの役割
お父さんの一番の役割は、子どもの勉強を見てあげるとことではなく、家族を笑顔にする役割を演じることだと思います。まず、お母さんとのコミュニケーションをしっかりととることです。また、ときには「ありがとう」という言葉でねぎらうことができたら最高です(日本人は、言わなくても伝わるだろうと思いがちです)。 家族みんながホッとする場が、家庭であるべきです。とくに入試の直前期には、子どものそばにいて、勉強だけでなく健康管理でもヘトヘトなお母さんをお父さんがしっかり支えることで、お子さんのメンタルも安定します。 ちなみに、この項目では便宜上、一般的な父親・母親の役割で分けていますが、子どものそばにいる時間が多い人(ここではお母さんと仮定しています)のほうが物理的にも精神的にも大変だという前提で話を進めています。 休みの日には、博物館や科学館に行くなど、机上での勉強以外の体験を、お父さんが企画するのもよいでしょう。そして、どこかに子どもを連れ出すときは、お父さん自身がおもしろがることが大切です。子どもが博物館をまわっているのに、お父さんが座ってスマホをいじっているというのは、好奇心も楽しさも半減してしまいます。どんなことでも学びの入り口になるので、その瞬間を大切にしてください。 また、仕事で忙しいお父さんのほうが、一歩引いた視点で物事を見ることができ、客観的な判断ができることもあります。 医療の分野ではセカンドオピニオンが大切だとされますが、受験でも、お母さんとは別の視点を持ったお父さんの意見をすり合わせることで、大きく失敗することが少なくなります。 世の中の厳しさを日夜感じているお父さんであれば「中学受験での成功と社会の成功に因果関係などない」「学歴よりももっと大事なものがある」「能力が高いだけの人よりも一生懸命な人が勝つ」という言葉にも、重みが出てきます。日々、目先のことに追われたり、将来のためのことを考えられなくなったりする事態から脱却できます。 一生懸命になるあまり、子どもの成績が自分への評価であるかのように考えてしまうのが中学受験の怖さです。過去にも、保護者にプレッシャーがかかってまわりが見えなくなるケースには、成績が伸びない子どもを追い詰めるように「勉強の量」で対処しようとする共通点がありました。 お母さんは塾にお迎えに行って貼り出される成績表を見るなど、つい他の子と自分の子を比較したり、子どもの成績の上下に一喜一憂したりしてしまう、ということが起こりがちです。お父さんは、家族みんなが安心して受験に向かえるように状況を冷静に整理してください。