万人受けを狙わなかったら世界中で大ヒット、ハリウッドの新興スタジオ・ブラムハウス立役者が語る成功の秘訣
映像化作品と原作の関係が注目されている中、図らずも全世界で一大ブームを巻き起こしたホラーゲームを映画化した『ファイブ・ナイツ・アット・フレディーズ』(公開中)のプロモーションで来日していた、米国の製作会社ブラムハウスの創始者でCEOのジェイソン・ブラム氏から「原案のゲームの開発者の信頼を得て映画化を実現するのに8年かかった」という話を聞くことができた。 【動画】ブラムハウスの創設者ジェイソン・ブラム氏のメッセージ 9日より公開される映画『ファイブ・ナイツ・アット・フレディーズ』は、スコット・カーソン氏が開発した同名ゲームを原案としている。ユーザーが主人公マイクの視点でプレーを勧めるホラーゲーム。今や廃墟と化したテーマパーク型ピザレストラン、「フレディ・ファズベアーズ・ピザ」で夜間警備員として働くことになったマイクが、真夜中になると勝手に動き出す店内に放置されたままの巨大マスコット(アニマトロニクス=機械人形)たちの攻撃をかいくぐって朝まで生き延びることを目指す。 2014年8月のリリースと同時に大ヒットを記録し、すぐに続編が制作され、現在、9つのゲーム、スピンオフ・ゲーム、小説3部作、アンソロジー・シリーズを含むグローバル・フランチャイズを形成している。 当然のことながら、カーソン氏のもとには映像化のオファーが殺到。ブラムハウスも「10年ほど前に連絡を取った」とブラム氏。最初はかなり警戒されたという。「1年近くかけて彼を説得して、まず短期間のオプション契約を結びました。話し合いを重ね、パートナーシップを築くのに8年かかりました」とブラム氏は明かす。原案者の信頼を勝ち取り、映画化が実現できた要因として、「原案のゲームのファンに向けて映画をつくることに徹した」ことを挙げている。 「ほかのスタジオだったら、このゲームを知らない人でも楽しめる映画にしようとしたでしょう。しかし、スコットが望んでいたことは、まずゲームのファンに満足してもらうことでした。私たちはそれを尊重したのです」 あえて万人受けを狙わず、原案のゲームファンの支持を得られる映画を目指し、ゲーム開発者のカーソン氏も納得ずくで出来上がった映画は、昨年 10月27日に北米および各国で公開されるやいなや、初週の週末興収ランキングで1位発進。破竹の勢いで全世界興収累計2億8900万ドルを稼ぎ出し、ブラムハウス製作作品としては史上最高興収記録を樹立した。 「これは、我々にとっても大きな教訓となりました。万人受けを狙った結果、誰にも受け入れてもらずに失敗することはよくある。狭くてもある種のファンやコミュニティーに焦点を当てた映画にも勝機があることがわかりました。いや、ファンに焦点を当ててつくったからこそ、より良い映画ができたのかもしれません」