国民を信じない政治家は国民から信用されない-石破茂氏に聞く【自民総裁選】
安倍政権の評価
――安倍政権の良かった所と悪かった所を教えてください。 石破氏:長く安定したのはいいことじゃないですかね。それを悪いことだとは、まったく言わないです。ただそれは私もね、2年幹事長をやってきたけどね、あんまりに野党がダメなんだよね。あの野党にやらせるぐらいだったら自民党かな、みたいなね。消極的な選択で長く続いたのは、やっぱり野党のダメさというのがすごく寄与したと思っていてね、そういうこともあって安倍さんの時代は長く続いたんだと思いますね。
アベノミクスの評価
――安倍政権の政策であるアベノミクスの評価を教えてください。 石破氏:低金利で、減税をして、円安にして、そして賃金を抑えるということになると、一種のコストカット型の経営だったんじゃないかな。アベノミクスの間、日本と中国、日本とアメリカ、経済規模は開く一方なのね。そして国際競争力は、企業はどんどん下がっていったのね。デジタル度はどんどん下がっていったのね。批判された時、そこに伸びしろがありますよねっていう考え方で見ると、アベノミクスの評価は変わってくると思いますけどね。
国のデジタル化と教育・人材育成
――学校教育のIT化や人材育成など、国のデジタル化に向けた方針をお聞かせください。 石破氏:総裁が突然辞めたら選挙(党員投票)やるのに2カ月かかりますって、それおかしいよね。あるいは今回のコロナでも、いろんな給付金をもらうのにものすごく手続きが複雑だったよね。マイナンバーカードを活かして、納税と給付ってのを一体化することは可能なはずなんですよね。 そういうデジタルの社会を作ることによって、このコロナに迅速に対応したのが一番は台湾でしょうよ。あるいは韓国でしょうよ。そういう国々がデジタル社会を作っていて、何で日本でできないんだってことは虚心坦懐に反省して、台湾のデジタル担当大臣ってのは30代の天才がやってるわけで、日本でもそういうことができるんじゃないか。 あるいは教育で言うと、私はこのあいだ長野県の喬木村ってとこ行ったんだけどね、ここはもうICT教育の先端行っているわけですよ。第一小学校、第二小学校があって、第一小学校は1クラス30人ぐらいいるんだけど、第二小学校は6人しかいない。ICTを使って同じ授業をやるのね。そうすると子供たちが少ないところも、多いクラスと同じような授業が受けられるし、あんまり面白いんで子供たちが給食の時間削ってでも勉強したいっていうね、これ本当の話ですよね。 離島だろうが中山間地だろうが、同じ教育を受けられるようになるじゃないですか。大都市にいないといい予備校に行けないとかそんなことはないわけで。そうすると、このコロナを機会に地方でも仕事できるじゃないか、地方でも教育できるじゃないか、地方でも医療を受けられるじゃないかっていう、そういうデジタル型の社会ってのが、これはコロナが終息してから考えるんじゃなくて、コロナと並行してやっていくべきことでね。