酒造り〝ほとんどできず〟奥能登の蔵 壊滅的な被害
能登半島地震で大きな被害が出た半島北部の奥能登地域で、酒蔵が壊滅的な被害を受けている。石川県と県酒造組合連合会によると、奥能登にある全ての酒蔵に建物被害があり、ほとんどが酒造りをできない状態という。奥能登の酒蔵では「年間二百数十トン」(同連合会)の酒造好適米を使うという。 県と同連合会によると、奥能登にある11の酒蔵のうち、全壊が5社、半壊・一部損壊が6社に上る。本来なら現在は酒造りの最盛期だが、建物被害と断水の影響でほとんどが酒造りをできない状態という。タンク内で貯蔵されていた日本酒や、各酒蔵で保管されていた酒造好適米への被害もあるとみられる。 日本四大杜氏の一つ「能登杜氏」の発祥の地とされる奥能登。同連合会の裏谷重寿専務は「若い蔵元が多く、再建意欲は強いが、被害が甚大で復旧の見通しが立たない」と肩を落とす。 酒造好適米の産地への影響も懸念される。国内有数の酒造好適米産地で、奥能登と年間100トン近くの「山田錦」を取引するJA全農兵庫は「2023年産はほぼ出荷済みなので影響は少ない。県内の作付け計画を大きく変えるほどではないが、24年産の取引には影響が出てくる」(米麦部)とみる。
日本農業新聞